鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

不当な利上げの監視に関する法律への明記

先日、日本経済新聞に、「統合地銀の不当

金利上げ禁止を利用者保護へ法に明記」

という記事が載っていました。


(ご参考→ https://s.nikkei.com/3bI6gXg


このような金融庁の方針は、昨年も報道さ

れていました。


(ご参考→ https://s.nikkei.com/2zi8RFi


しかし、今回の記事は、「金融庁は、不当

な利上げを防ぐための監視を、監督指針や

政省令に盛り込む方針だったが、法律に明

記することにした」点が異なります。


これは、今後、金融庁が銀行の統合を進め

て行こうとするにあたって、公正取引委員

会などから疑義が出にくくするようにする

ための対策と思われます。


なぜなら、日本の金融行政においては、金

融庁の権威は大きく、例えば、金融円滑化

法(モラトリアム法)で義務付けられてい

た、銀行から金融庁への「貸付条件の変更

実施状況」の報告は、同法が終了した20

13年3月以降も、金融庁の要請によって

2019年3月まで行われていました。


要は、日本の銀行は、法律的な根拠がなく

ても、金融庁が要請すればそれに従うとい

う状況なので、前述の「不当な利上げを防

ぐための監視」を法律に明記することは、

金融庁と銀行の関係では必要性は薄いと考

えらます。


したがって、「不当な利上げを防ぐための

監視」法律に明記する事情として考えられ

ることは、金融行政に直接関わっていない

機関に対するアピールと言えます。


これは、現在の金融庁が、今後、銀行の統

合に注力していこうとしていることの現れ

なのでしょう。


ちなみに、ある地域で銀行が統合し、その

結果、その地域での統合後の銀行の融資占

有率が高くなったときに、本当に不当な利

上げは起きないでしょうか?


これにつていは、私は、利上げはあまり起

きないと思います。


その最大の理由は、銀行は、社会的評価を

強く意識する性質があるので、利上げによ

る批判は避けようとするからです。


ただ、業績のよくない会社に対しては、リ

スクに見合う金利までの引き上げを要求す

るか、または、新たな融資を断るというこ

とが、出てくる可能性は高くなると思いま

す。


したがって、今後、銀行の統合が予想され

る地域の中小企業で、業績がかんばしくな

い会社は、速やかに銀行との関係を緊密に

しておくことが大切になると思われます。

 

 

 

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