鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

フジテレビのもうけの柱は観光事業

公認会計士の川口宏之先生のご著書、「経

営や会計のことはよくわかりませんが、儲

かっている会社を教えてください!」を拝

読しました。


(ご参考→ https://amzn.to/39zw7i6


同書は、タイトルからも分かる通り、会計

の苦手な方向けに、会社の財務情報をどう

読むかということを解説している本です。


具体的には、12組のライバル会社を比較

分析した事例を示して解説しているのです

が、私は、フジテレビと日本テレビの事例

について興味を持ちました。


2018年4月2日~2019年3月31

日の視聴率調査によれば、ゴールデンタイ

ムの視聴率は、日本テレビが11.9%で

あるのに対し、フジテレビは8.1%と、

差をあけられています。


そのことを反映し、2019年3月期の日

本テレビのメディア・コンテンツ事業の営

業利益は461億円であるのに対し、フジ

テレビの同事業の営業利益は170億円に

なっているそうです。


しかし、フジテレビは、都市開発・観光事

業の営業利益が、メディア・コンテンツ事

業を上回る180億円になっているそうで

す。


ちなみに、日本テレビの同事業の営業利益

は30億円しかないそうです。


このような状況について、川口さんは、フ

ジテレビは番組制作で得られる利益が減っ

ていることに対応して、観光事業で収入を

得るようにしており、環境変化に応じて事

業を育てている同社は優れていると評価し

ています。


このような分析ができるのは、有価証券報

告書(上場会社の決算書のこと)に、セグ

メント情報(事業ごとの収支の情報)が書

かれているからであり、会社全体の売上高

や利益だけを分析するのではなく、事業ご

との売上高や利益を見て会社を分析するこ

とが肝要であるとも、川口さんは述べてお

られます。


このようなセグメント分析は、銀行の融資

審査では当然に行われることなのですが、

中小企業では、セグメント情報を明示して

いる会社はあまりありません。


社長が、商品別、顧客別、地域別といった

部門別の売上の情報を持っていることもあ

ると思いますが、社内での管理のためだけ

に作成したものであっても、そのような情

報を銀行に提供することは、自社の評価を

高めることにつながります。


このセグメント情報を、毎月、銀行に提出

するだけでも、銀行の反応は変わってくる

でしょう。


ちなみに、川口さんのご著書には、フジテ

レビの事例のほかに、11の事例が解説さ

れていますので、それらの事例からも、専

門家はどのように会社を分析しているのか

が理解できます。


日頃、「銀行の考え方がなかなか理解でき

ない」と悩んでおられる会社経営者の方に

は、川口さんのご著書をお読みになること

を強くお薦めします。

 

 

 

 

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