鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

手段の目的化

千代田区麹町中学校長、工藤勇一さんの

著書、「学校の『当たり前』をやめた。」

( https://amzn.to/3bx5a0o )を拝読しま

した。


この本の肝となるメッセージは、64ペー

ジに書かれていると、私は思っています。


「私が麹町中学校で実践してきた方法は、

学校に限らず、あらゆる組織で活用できま

す。


目的と手段が一致しないものや、手段が目

的化しているものは、廃止・見直しをす

る。


その上で、本来の『目的』と再確認して、

最適な『手段』を再構築する。


そうしたプロセスで改善を図って行くこと

が大切です」


ところで、工藤さんは、麹町中学校の最上

位の目的として、「『世の中まんざらでも

ない!大人って結構素敵だ!』ということ

を教えること」を挙げています。


この目的のために、「自律・貢献・創造」

という下位の目的(手段)があり、さらに

この目的を達成するために、「麹町中学校

の目指す生徒像」という目的(手段)があ

るそうです。


これは、まさしく、KGIとKPIの関係

( https://bit.ly/2Hm5GAB )を示している

と思います。


麹町中学校の改革が奏功したのは、工藤さ

んが、このような、全体を俯瞰する視点に

立っていたことも、主要な要因のひとつに

なっていると思います。


話を戻して、手段と目的の取り違えは、残

念なことに、ビジネスの世界においても、

頻繁に見られます。


こう言っては失礼ですが、民間会社と比較

して、より役所的な学校では、さらに、そ

の傾向は強いでしょう。


そして、それを変えようとしたところに、

工藤さんが注目される理由があると思いま

す。


では、工藤さんが、中学校の改革を行おう

とした、原動力はどういうものなのでしょ

うか?


工藤さんの経験が、本にはたくさん書いて

ありましたが、私は、残念ながら、その根

底にあるものは読み取れませんでした。


強いて言えば、よい生徒を育てたいという

信念が強いということに尽きるでしょう。


私も、サラリーマン時代の経験や、フリー

ランスとして、中小企業の事業改善のお手

伝いをしてきた経験を通して、「前例を変

える」ためには、強い意思と労力が必要と

いうことを、実感しています。


そして、経営者の方が、それを避けたいた

めに、事業の改善が遅々としている事例を

たくさん見て来ました。


むしろ、当然のことかもしれませんが、前

例を変えることから逃げたいと考えている

経営者のいる会社ほど、業績もよくありま

せん。


すなわち、経営者としての能力の巧緻の分

かれ目は、工藤さんのご指摘するように、

手段と目的を取り違えないこと、そして、

目的と手段が一致しないものや、手段が目

的化しているものは、廃止・見直しをする

こと、最後に、それを実践する強い意思を

持つことができるかどうかだということ

を、同書を読んで感じました。

 

 

 

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