鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

金融庁が地銀トップと直接議論

先日、日本経済新聞に、「金融庁が地銀

トップと直接議論」という記事が掲載され

ました。


(ご参考→ https://s.nikkei.com/39nrTKl


記事の主旨としては、「金融庁は、今春に

も地銀各行の頭取とトップ会談に乗り出す

が、その際に、経営理念、地域社会との関

係、頭取の役割など、新たな対話指針とし

て8つの主要論点案を示し、金融庁幹部が

各頭取と個別に議論する際の、事実上の想

定質問集になる」というものです。


しかし、この記事を読んでみると、「だか

らなに?」という感じがするくらい、あま

り、中身はないように感じます。


ここからは、私の個人的な分析ですが、あ

まり中身のない記事になっているのは、次

のような理由があるからだと思います。


ひとつは、監督官庁金融庁が、スルガ銀

行の不正融資に関し、それを見抜けなかっ

たどころか、お手本にすべきビジネスモデ

ルと述べていたことからもわかるように、

銀行の収益環境が悪化している中にあっ

て、その打開策は、監督官庁としては提示

できないということを自ら認めているとい

うことです。


スルガ銀行の不正融資が発覚する前は、同

行のように、工夫次第で銀行は収益性を高

めることが可能と金融庁は主張できたもの

の、同行が不正な方法を使っていたことが

わかると、金融庁は他の銀行に対して、工

夫が足りないという主張をする根拠を失っ

てしまいました。


しかも、日本中の銀行は、利鞘を確保でき

ないという同じ課題に苦しんでおり、銀行

の収益性が低い要因は、銀行の努力不足と

は言いがたい面が強いと言えます。


そこで、金融庁も改善策の案を提示しよう

にも八方ふさがりになり、監督する側では

改善策を提示することには限界にきたと考

え、事業現場にいる銀行側に考えてもらう

しかないという状況になったのではないか

と思います。


「対話指針」という、おかしな名前の指針

を提示することになったのも、そのような

状況の表れだと思います。


ふたつめは、金融庁側から、「これからど

のような改善策を実践しますか?」と、直

接、銀行に尋ねることによって、改善に腰

の重い銀行の行動を促すことが、今回の直

接対話の本当の狙いだと思います。


改善を要すると思われる銀行ほど、腰が重

いようなので、この点は単純でわかりやす

いと思います。


ただ、銀行の事業の改善策といっても、い

まの環境では、職員数と店舗数の削減、す

なわち、経営統合(合併)しかないので、

今回の記事にあるような金融庁の動きは、

結局のところ、銀行の再編を促すことにな

ると思います。

 

 

 

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