鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

もうからない客をもうかる客にする

きょうは30日、明日は31日ですが、月

末になると私が思い出すことがあります。


いまではだいぶ緩和されてきているようで

すが、私が銀行に勤務していた20年くら

い前までは、月末は、たくさんの顧客が銀

行の店舗に訪れました。


その顧客の用件は、送金の依頼や、手形決

済のための当座預金への現金の預け入れも

ありましたが、ATMでの現金の引き出し

が最も多いようでした。


当然、来店者数が多いと、銀行職員は顧客

対応のために、ずっと店頭にはりついたま

まになります。


でも、このように述べることは失礼なので

すが、送金や現金の出し入れは、正直なと

ころ、銀行からみてあまり収益にはならな

い業務なので、月末の銀行は混んでいたと

しても、あまりもうからない顧客で混んで

いたということです。


しかし、そのような状況の緩和に貢献した

のが、2001年に開業したセブン銀行

す。


セブン銀行は銀行でありながら、多くの方

がご存知のように、ATMの活用で収益を

得るという、それまでにはない手法を使っ

ています。


具体的には、同社の2018年3月期の経

常収益(一般の会社の売上高)は、約1,

473億円ですが、このうち、ATM受入

手数料(他の銀行の預金者が、自社のAT

Mを利用した時、その利用者の取引銀行か

ら徴収する手数料で、1回あたり約200

円と言われています)は約1,353億円

と、約92%にもなります。


すなわち、同社は、実質的には、他の銀行

の現金支払代行会社になっていると言えま

す。


もちろん、このようなセブン銀行とほかの

銀行の関係は、Win-Winの関係にあ

り、例えば、「三菱UFJ銀行は5月1日

から、コンビニエンスストアにあるATM

での現金の引き出しや預け入れにかかる手

数料を見直し、自社のATMが混雑する毎

月25日と月末日は手数料を引き下げ、現

在110円かかる日中は無料、220円の

夜間などは110円にする」と報道されて

いることからもわかります。


(ご参考→ https://s.nikkei.com/2RyDiRC


このように、一般の銀行にとってあまりも

うからない、繁忙期に来店する顧客を、セ

ブン銀行は収益源にしています。


このような例は、ほかになかなか見つから

ないのですが、私は、九州旅客鉄道が運行

する周遊型臨時寝台列車ななつ星が、そ

の例のひとつではないかと思っています。


ななつ星の場合、もうからない客ではな

く、もうからない路線でもうけている列車

だと思います。


では、今回の記事の結論は何かというと、

他社にとってはもうからないことを、自社

のもうけにすることができる場合もあると

いうことです。


でも、そうは言っても、それはコロンブス

のたまご的なもので、なかなかみつからな

いのが実情です。


だからこそ、経営者の方は感度の高いアン

テナをはることが大切なのだということ

を、私はコンビニエンスストアのATMを

見るたびに感じています。

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20200128230118j:plain