鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

リース債務のオンバランス化

以前、オペレーティングリースの会計につ

いて述べたことがありました。


(ご参考→ https://bit.ly/34ao5sT


すなわち、リース契約には、ファイナンス

リースとオペレーティングリースがあり、

現在のリース会計基準では、ファイナンス

リースのみ、リース物件の資産相当額を、

ユーザーの貸借対照表に計上することとさ

れていますが、オペレーティングリース

ついても、ファイナンスリースと同様の取

扱とすることが検討されているということ

です。


ちなみに、私は、この方針に賛成ですが、

公益社団法人リース事業協会は、この変更

については反対ということです。


そこで、たまたま、リース会社の方とお話

する機会があったので、このことについて

お伺いしたところ、詳細な内容は割愛しま

すが、ひとことでまとめると、ユーザーが

混乱することを避けたいということが最大

の理由のようです。


私も、会計基準の変更によって、リース利

用者が混乱することは理解できますので、

リース業界の意向も理解できます。


その一方で、会計基準を変更しようとする

側の考え方も理解できます。


すなわち、貸借対照表には、その会社に関

する情報をできるだけ盛り込むべきという

考えがあるために、オペレーティングリー

スもファイナンスリースと同様に取り扱う

べきということなのでしょう。


そして、私は、貸借対照表を利用する側

が、どれくらいの正確さを求めるかという

ことを決めるしかないと思います。


現在の貸借対照表でも、100万円の現金

と、100万円の売掛金と、100万円の

在庫と、100万円の建物は、すべて、同

じ価値があるという前提で計上されていま

す。


でも、貸借対照表を見る側は、科目が異な

れば、価値も異なるものとして認識してい

ると思います。


というのは、同じ資産であっても、実態

は、現金より、売掛金、在庫、建物は、価

値が劣るからです。


ですから、繰り返しになりますが、前述の

リース会計基準の変更についても、貸借対

照表の正確さをどこまでこだわるかという

「決め」の問題だと思います。


今回の記事の結論は、会社の財務諸表は、

100%正確ではないという前提があるの

で、財務分析をする側には、「会計リテラ

シー」を持つ必要があるということです。


とはいえ、これはすぐに身に着くものでは

ないので、会計リテラシーを高めたいと考

えている方は、ある程度の時間をかけなが

ら身に付けて行くことをお薦めします。




※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/




f:id:rokkakuakio:20191212154321j:plain