鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

戦略わかったふりおじさん

ワンキャリア執行役員の北野唯我さんが、

ダイヤモンドオンラインに寄稿した記事を

読みました。


(ご参考→ https://bit.ly/33zxslM


記事の主旨は、「組織には、トップから伝

えられた戦略・事実がレポートラインに

のっとって報告されるうちに、少しずつね

じれ、本来の意図とはまったく違う形で現

場に下りてくること、すなわち、トーショ

ン・オブ・ストラテジー(戦略のねじれ)

が起きる。


その原因のひとつは、戦略をよく理解して

いないにもかかわらず、プライドが高いた

めに、自分の解釈を加えて解説しようとす

る、『戦略わかったふりおじさん』がいる

から」ということです。


このことで、「現場のメンバーが、『経営

陣は噓をついている』、『情報がオープン

になっていない』と感じてしまう」という

弊害が起きるが、「『戦略わかったふりお

じさん』は、自分の解釈を入れることに自

分の価値を見出すため、ズレが修正されな

いまま放置されてしまう」そうです。


そして、「戦略のねじれ」を防ぐ対策とし

て、北野さんは、数字や目標などは解釈を

入れられる余地がないものの、ビジョンな

どの解釈の入る余地のある情報は、経営者

と現場で直接やりとりするようにするべき

と述べておられます。


また、現場の情報をリアルタイムで経営者

が把握できるようにすることも必要と述べ

ておられます。


ここまでが北野さんのご主張ですが、私も

北野さんの考え方は正しいと思います。


そして、この記事を読んだときに、ことし

の9月30日に行われた、かんぽ生命保険

の不適切な商品販売の契約調査についての

中間報告の公表のときの、日本郵政長門

社長の言葉を、私は思い出しました。


(ご参考→ https://s.nikkei.com/35U2s1d


記者からの、「NHKの番組に対して日本

郵政の副社長が抗議したという報道があっ

た」との質問に対し、長門社長は、「改め

て、昨日、その番組を見たが、指摘されて

いる点は、いまとなってはまったくその通

りだと思う。


ただ、当時は内容に驚き、一方的で、アン

フェアと感じたので、フェアに報道してほ

しいという文書を、NHKにグループ3社

長の連名で出した」と答えています。


ここで言及されている、番組とは、昨年の

4月に報道されたものですが、長門社長は

現場で起きている不適切販売について、社

内からは何の情報も得られておらず、外部

の放送局の取材によって制作された番組を

視て知ることになったということです。


これでは、経営者がどれだけ優秀でも、目

隠しされた状況で経営判断を行っているに

等しいことになり、経営者層は機能不全に

なっていたと言えます。


このような同社の体制は、必ずしも、北野

さんの指摘するような、「戦略わかったふ

りおじさん」の存在が原因とは限りません

が、日本郵政グループでは、隠然として力

を持っている郵便局長が、現場の情報を上

層部に伝えていないと言われており、現場

と経営者層で情報が遮断されていたという

点では共通していると思います。


会社組織は、有機的な存在である、人間に

よって構成されており、プライドが高いと

いう人間的な側面の表れによって発生して

しまう「戦略わかったふりおじさん」は、

100%排除することは難しいでしょう。


日本郵政の体質についても、「上には口を

はさまれたくない」という、利己的な考え

を持つ中間管理職の存在も同様でしょう。


したがって、今回の記事の結論は、組織に

はコミュニケーションを阻害する要因が存

在するということを前提として、経営者は

常に体制を整えることに努めなければ、自

らの存在が無意味になってしまいかねない

ということです。


なお、今回は、日本郵政の事例を引用しま

したが、同社を批判することが主旨ではあ

りません。


私がかつて勤務していた会社も、似たよう

な状況にあったし、残念ながら、日本には

コミュニケーションが不十分な会社が多い

と考えています。


同社の事例は他山の石にすべき事例である

と思います。




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●12月13日(金)ランチ会兼勉強会のお

知らせ

 

12月13日(金)12時00分から、東

京都千代田区秋葉原駅の近くのレストラ

ンで、少人数に限定して、昼食をとりなが

らの融資に関する勉強会を開きたいと思い

ます。

 


■日時:令和元年12月13日(火)

12時00分~14時00分


■会場:和食ダイニングまぐろ問屋十代目

彌左エ門 アトレ秋葉原2店

東京都千代田区神田花岡町1-9

アトレ秋葉原2 4階


JR秋葉原駅昭和通り口を出て、すぐ左側

にあるエレベーターで4階に上がってくだ

さい。


東京メトロ日比谷線をご利用の場合、秋葉

原駅3番出口を出ると、正面にエレベータ

ーが見えます。


地図→ https://bit.ly/2lV8tZO

 

■参加費:1,000円(消費税込み)

当日、会場でお申し受けします。


別途、お食事をご注文し、各自、ご精算く

ださい。


■その他:食事をオーダーするという条件

を満たしていただければ、遅れての参加、

中途での退室は可能です。当日は、ご参加

いただいた方からの質問もお受けします。


■参加申し込み方法:フェイスブックイベ

ントページで、「参加」ボタンを押してく

ださい。→

https://www.facebook.com/events/532327930944980/