鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

銀行職員も自らの問題を理解している

経済ジャーナリストの浪川攻さんの著書、

「ザ・ネクストバンカー」を読みました。


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この本は、メガバンク地方銀行の12人

の役員や支店長に対してインタビューした

内容をまとめた本です。


インタビューを受けた方々それぞれ特徴あ

るマネジメントをしている点は、大いに参

考になったのですが、最も印象深かった方

は、静岡銀行常務執行役員大橋弘さんで

す。


大橋さんが営業店の支店長だったころ、あ

る新入職員が辞めそうになったそうです。


大橋さんは、銀行の仕事に醍醐味を感じ、

誇りを持って仕事に臨んできたので、縁が

あって部下になった職員にも、銀行を辞め

ずに仕事の醍醐味を感じて欲しいと考えた

そうです。


そこで、大橋さんは、その新入職員が担当

して融資を行い、住宅を購入した顧客に依

頼して、その新入職員を夕食の席に招いて

もらったそうです。


そして、その新入職員は、顧客の家で食事

をしながら、「あなたのおかげで家を持つ

ことができて、とてもうれしかった」とい

う話をきかされたそうです。


その後、その新入職員は、自信をとりもど

し、目の色を変えて仕事に取り組むように

なり、個人表彰を受けるようになるほど活

躍したそうです。


とはいえ、大橋さんもかつては同様の悩み

を経験したようです。


30年ほど前、大橋さんの担当先のある中

小企業から、従業員への賞与の支払いのた

めに融資の申し込みを受けたものの、融資

稟議の決裁が得られず、応じることができ

なかったそうです。


そこで、その会社の社長は自分の自動車を

売却し、その代金を賞与支払いにあてたそ

うです。


大橋さんも、自分が力になれなかったこと

が悔やまれ、その後は、その会社に新たな

顧客を紹介するなどして、社長からは大い

に感謝されるようになり、当時、中学生の

息子が将来結婚することになったら、仲人

を引き受けて欲しいと言われるほどになっ

たそうです。


そして、その十数年後、その社長から本当

に仲人の依頼が来て、大橋さんはとてもう

れしかったそうです。


ここまで記載してきたことは、本からの引

用ですが、ちょっと美談過ぎるのではない

かと感じる方もいると思います。


もちろん、銀行の方が、自分の経験につい

て外部の人に話すことができるものは、美

談に限定されるでしょう。


また、銀行で起きることは美談だけかとい

うと、これは私の経験からもそう思うので

すが、美談にはならないことの方が何倍も

多いということも事実でしょう。


では、今回、本の内容をご紹介したのかと

いうと、銀行職員も外部からの批判を受け

ている一方で、自らも大きな問題意識を持

ち、改善に努めている事実もあるというこ

とをお伝えしたかったからです。


最近は、経済評論家の上念司さんが、「も

う銀行はいらない」という本を上梓するな

ど、多くの人が銀行への批判や不満を表し

ています。


そして、それらの内容ももっともであり、

私も、同様に現在の銀行への不満を感じて

います。


ただ、それに応えられない原因は、銀行側

が批判をしている人たちと考え方が異なっ

ているからではないと思います。


前述の大橋さんも、融資を申し込みに応じ

ることができなかったことを悔しく思い、

それをカバーするために多くの労力を注い

でいます。


すなわち、何が問題かは理解しているもの

の、低金利時代で利鞘を得にくくなってい

ること、日本の経済活動が縮小するなかで

融資需要が伸び悩んでいることなどの経営

環境の悪化もあり、なかなか思うように行

かない状態にあると私は思っています。


でも、そのような事情があるとしても、銀

行の利用者が銀行に対して不満を持つべき

ではないとも考えていません。


ただ、「銀行は担保がないと融資しない」

とか、「銀行はどしゃぶりの日に傘をとり

あげる」といった、無機的な相手と考えず

に、「十分には評価できないとはいえ、利

用者の要望に応えようと努力している」と

考えて接するほうが現実的であり、そのよ

うな接し方をしていれば、銀行との関係も

好転するのではないかと、私は考えていま

す。


確かに、銀行は自社の要望に100%応じ

てくれるとは限りませんが、敵対するよう

な接し方ではなく、目指すところは同じで

あっても立場が違う相手と考えて接する方

が、早く問題解決につながると思います。

 

 

 

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●11月19日ランチ会兼勉強会のお知らせ


11月19日(火)12時00分から、東

京都千代田区秋葉原駅の近くのレストラ

ンで、少人数に限定して、昼食をとりなが

らの融資に関する勉強会を開きたいと思い

ます。

 


■日時:令和元年11月19日(火)

12時00分~14時00分


■会場:和食ダイニングまぐろ問屋十代目

彌左エ門 アトレ秋葉原2店

東京都千代田区神田花岡町1-9

アトレ秋葉原2 4階


JR秋葉原駅昭和通り口を出て、すぐ左側

にあるエレベーターで4階に上がってくだ

さい。


東京メトロ日比谷線をご利用の場合、秋葉

原駅3番出口を出ると、正面にエレベータ

ーが見えます。


地図→ https://bit.ly/2lV8tZO

 

■参加費:1,000円(消費税込み)

当日、会場でお申し受けします。


別途、お食事をご注文し、各自、ご精算く

ださい。


■その他:食事をオーダーするという条件

を満たしていただければ、遅れての参加、

中途での退室は可能です。当日は、ご参加

いただいた方からの質問もお受けします。


■参加申し込み方法:フェイスブックイベ

ントページで、「参加」ボタンを押してく

ださい。→

https://www.facebook.com/events/410138059668211/