鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

得をしなくてもいいから損はしたくない

6月3日に金融庁の金融審議会が提出した

報告書について、「年金2,000万円問

題」として大きく批判されたことは、多く

の方がご存知の通りです。


すなわち、「家計に関する調査の結果、高

齢無職世帯は収入より5万円強だけ多く消

費しており、その差額は預貯金を取り崩し

ているため、5万円強の30年分だと2千

万円になる」という部分について、「老後

に備えて2千万円をためるなんて、そう簡

単にはできない」という批判です。


私も、2千万円をためることはむずかしい

ことだと思いますが、その一方で、報告書

も調査結果を書いただけであり、金融庁

批判しても仕方ないと思います。


とはいえ、明確な根拠はありませんが、こ

金融庁の報告書について冷静に受け止め

ている国民の方が多いとは、私も考えてい

ます。


ただ、この報告書に関し金融担当大臣が、

「正式な報告書としては受け取らない」と

表明せざるをえなくなるまでに、批判が大

きくなったことも事実です。


ところで、今回、この「年金2,000万

円問題」に言及した理由ですが、私のかつ

ての経験を思い出したからです。


約20年ほど前、銀行の不良債権処理問題

で金融不安が広がっていたころ、私が勤務

していた銀行が経営破たんするとのうわさ

が流れ、多くの預金者が預金を引き出しに

来たことがありました。


結果として、私が勤務していた銀行は、後

になって国有化されるのですが、仮に、そ

のとき経営破たんしていたとしても、当時

預金保険によって預金の全額保護されて

いたので、中途解約などをすることは、あ

まり賢明なことではありませんでした。


それでも、「もし、銀行が経営破たんをし

たら、自分の預けているお金を失ってしま

うかもしれない」という不安を持った預金

者の方は、急いで預金を引き出そうとした

のでしょう。


このように、人は、「不確実なことについ

ては、得をしなくてもいいから、損するこ

とは避けたい」という意識が強く働くこと

は、広く知られている通りです。


「年金2,000万円問題」についても、

「少ない給料から年金保険料を払っている

上に、老後はそれだけでは生活ができず、

さらに2,000万円を貯めなければなら

ないのなら、年金保険料を払うだけ損なの

ではないか」と考えた人が批判をしている

のではないかと思います。


さらに別の事例を見てみたいのですが、先

日、食品ロス問題に詳しいジャーナリスト

の井出留美さんが、千葉県富津市で、台風

15号の被災者に配られたペットボトルの

水のうち、約1,800本が賞味期限切れ

だったことについて、Yahoo!ニュー

スに寄稿しておられました。


(ご参考→ https://bit.ly/2kKyTNJ


その記事によれば、「(ペットボトルの水

の賞味期限切れについて)市民からの指摘

を受けて富津市がお詫びし、『飲用ではな

生活用水として使ってほしい』と呼びか

けている。


しかし、ペットボトルに表示されている賞

味期限は、長期保管中に水が蒸発して表記

してある内容量を満たさなくなると、計量

法に抵触してしまうため、規定の内容量を

きちんと満たしている期限を示しているの

であり、飲めなくなる期限ではない」そう

です。


私も、ペットボトルの水の賞味期限の意味

については知りませんでしたが、飲める水

を飲めないものとして使うことはもったい

ないと感じました。


このように、消費者(もちろん私も含みま

す)は「賞味期限」に敏感すぎると思いま

す。

ここにも、「賞味期限の意味はよくわから

ないけれど、期限を過ぎているのだから、

とにかく飲みさえしなければ安心だ」とい

うように、安心を求める心理が働いている

のだと思います。


では、商品(製品)の供給者はどうすれば

よいのかというと、直ちに解決できそうな

方法は見つかりませんが、顧客(最終需要

者)を啓蒙する活動をすることが必要にな

ると思います。


このような活動は、前述のように即効性は

ないものの、長い目で見て自社の業界に対

する誤解を取り除かないと、思わぬ落とし

穴に陥ってしまうことになると思います。


今回の記事で言及した、年金問題、銀行の

信用、ペットボトルの水などに対する国民

や顧客の反応を見て、これからは、会社側

などからの啓蒙活動がより大切になるとい

うことを感じています。

 

 

 

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●9月24日ランチ会兼勉強会のお知らせ

 

 9月24日(火)12時00分から、東京

秋葉原駅の近くのレストランで、少人数

に限定して、昼食をとりながらの融資に関

する勉強会を開きたいと思います。

 


■日時:令和元年9月24日(火)

12時00分~14時00分


■会場:和食ダイニングまぐろ問屋十代目

彌左エ門 アトレ秋葉原2店

東京都千代田区神田花岡町1-9

アトレ秋葉原2 4階


JR秋葉原駅昭和通り口を出て、すぐ左側

にあるエレベーターで4階に上がってくだ

さい。


東京メトロ日比谷線をご利用の場合、秋葉

原駅3番出口を出ると、正面にエレベータ

ーが見えます。


地図→ https://bit.ly/2lV8tZO

 

■参加費:1,000円(消費税込み)

当日、会場でお申し受けします。


別途、お食事をご注文し、各自、ご精算く

ださい。


■その他:食事をオーダーするという条件

を満たしていただければ、遅れての参加、

中途での退室は可能です。当日は、ご参加

いただいた方からの質問もお受けします。


■参加申し込み方法:フェイスブックイベ

ントページで、「参加」ボタンを押してく

ださい。→ https://bit.ly/2m91fSa