鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

融資を受けるときに見落としがちなこと

先日、特殊技術を持っているCさんから、

Cさんの持つ技術を活用して起業したいと

考えており、それにあたって約1億円の融

資を受けて設備調達をしたいので、相談に

のって欲しいとの依頼を受けました。


しかし、相談を受けた結果、今回の資金調

達は、いったん、断念するという結論に至

りました。


とはいっても、起業するのにいきなり1億

円の調達は無理ということではなく、別の

理由によるものでした。


確かに、Cさんの特殊技術はすばらしく、

決して事業化できる見込みが低いというも

のではありませんでした。


では、どうして断念したかというと、簡単

に言えば、銀行などの資金提供の協力を依

頼する相手に対して、きちんと事業につい

て説明できる段階になっていなかったとい

うことです。


特殊技術を持っている方が事業を始める

と、大きな利益が得られる場合があります

が、それを事業化するにあたって、銀行な

どの資金提供者の協力が必要な場合、その

相手に対し、どのような技術を、どのよう

に活用するのか、それがなぜ収益を得るこ

とができるのか、どれくらいの収益を見込

めるのか、事業を維持・発展させていくた

めにどのような運営体制をとるのかといっ

た説明が必要になります。


いわゆる、事業計画書を作るということで

すが、それは、融資の必要額が多くなるに

したがって、より詳細で精緻なものが必要

になります。


さらに、その事業計画書を作るには、外部

環境分析をしっかり行わなければならない

上に、内部環境、すなわち、Cさんの持つ

特殊技術だけでなく、従業員の方の能力、

会社の立地、その他の特徴などの条件も、

きちんと備わっているかどうかということ

も問われます。


Cさんの場合は、私と話していくうちに、

これから銀行などに対して事業の説明をし

ていくには、まだいろいろなことを調べな

ければならないということが分かり、今度

は、しっかりとした事業計画を立てるため

に、多くの情報を集めるということを、次

のステップとして決めたようです。


ところで、ここまで書いて来たことは、至

極当然のことと感じる方が多いのではない

かと思います。


しかし、銀行融資の場合、1,000万円

程度以内であれば、設備についてはあまり

詳細な説明を求めることはあまりありませ

ん。


多額の場合は別ですが、中小企業で、数百

万円の設備を調達するための融資に、事業

計画書の提出を銀行から求められた会社は

あまりないのではないでしょうか?


このような書き方は失礼ですが、多くの中

小起業では、銀行に事業計画書を提出する

ときは、創業するときの融資を申し込むと

きか、事業再生やリスケジュールを受けよ

うとするときが、ほとんどではないでしょ

うか?


でも、億単位でそれなりの金額の設備を導

入する場合は、これも当然ですが、融資を

する銀行も、しっかりとその妥当性を検討

する必要があるので、それなりの事業計画

書が必須になります。


Cさんの場合、これまで技術開発を中心に

仕事をしてきたので、事業化ということに

ついては不慣れであったようです。


銀行に多額の融資を受けたいと考えるので

あれば、「●●円の融資をして欲しい」と

いう希望を伝えるだけでは足らず、銀行を

納得させるだけの材料が必要になるもの

の、それは忘れられがちということを、C

さんからの相談を受けて、改めて感じまし

た。

 

 

 

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そこで、これまで受けたお問い合わせなど

を交えながら、融資に関する勉強会を開く

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■日時 10月14日(月)

19時00分~21時00分


■会場 新宿アントレサロン


東京都新宿区新宿2丁目12番13号

東京メトロ丸ノ内線副都心線、及び、都

営地下鉄新宿線新宿三丁目駅」C8出口

より徒歩1分


地図→ https://bit.ly/16cEDSR


■参加費 1,000円(消費税込み)

当日、会場でお申し受けします。


■申し込み方法

こちらのページにリンクされているフォー

ムに、お名前、メールアドレスなどのご記

入をお願いします。

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