今回も前回に引き続き、金融庁が8月28
日に公表した、令和元年事務年度の金融行
政方針に関する私の感想を述べたいと思い
ます。
(ご参考→ https://bit.ly/2Zkzzwy )
今回の金融行政方針の融資業務に関して最
も注目することは、監督指針の改正です。
これは、すでに4月に行われたものです
が、それに基づく実際の監督は、これから
行われるようです。
では、改正された監督指針とはどういうも
のかというと、(1)(現状に問題がある
と思われる銀行に対し)融資利率などが今
後5年間続くと仮定したときの自己資本比
率を算出→(2)地域の経済状況や顧客基
盤の見通しなどを加味し、将来の収益や自
己資本の見通しについて、総合的に妥当性
を検証→(3)その結果、概ね5年以内に
業務純益が継続的に赤字になるか、最低所
要自己資本比率を下回ることが見込まれる
銀行に対し、検査等を実施したり、業務改
善命令を出す、というものです。
これだけでは抽象的ですが、要は、収益性
の低い銀行に対しては、改善のための動き
が鈍い場合は、従来よりも早めに検査や業
務改善命令などの「ムチ」を打つというこ
とです。
そして、前述の通り、これからそれを実行
していくということになるので、これもこ
れまで何度も述べてきていますが、特に小
規模の地方銀行の統合が加速していくもの
と思われます。
さらに、預金保険料率についても、「金融
機関に対して同一の預金保険料率が適用さ
れているが、現行の預金保険法において
は、各金融機関の健全性に応じて異なる預
金保険料率(可変料率)を適用することも
許容されており(中略)、規律付け・イン
センティブ付与としての機能も視野に入れ
(中略)、預金保険料率のあり方の方向性
について、関係者による検討を進める」
と、統合した銀行に対して預金保険料を引
き下げるという「アメ」の部分にも言及し
ています。
今回の記事の結論は、今年後半から、金融
機関の統合の動きが加速し、従来よりも表
面化していくものと、私は考えているとい
うことです。
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