以前、ゴーイングコンサーンという言葉に
ついて説明したことがありました。
(ご参考→ https://bit.ly/31OwEJj )
そのときは、ゴーイングコンサーンについ
ては、「会社は半永久的に事業活動を行う
という前提」、「事業を継続させなければ
ならないという会社が担うべき使命・責
任」、「事業を継続している会社」と説明
しました。
実は、ゴーイングコンサーンは、これ以外
の意味で使われることがあります。
文字としては同じようになってしまうので
すが、それは、「会社が来期以降も存続す
るという前提」という意味です。
具体的には、この意味でのゴーイングコン
サーンが問題となった事例を見てもらえば
理解が容易になると思いますので、2年ほ
ど前、粉飾決算が表面化した家電メーカー
に関する新聞記事をご覧いただきたいと思
います。
(ご参考→ https://s.nikkei.com/2NeVUo6 )
詳細な説明は割愛しますが、会社の決算書
(有価証券報告書)が適正かどうかは、そ
の会社が継続する見込みであるかどうかで
変わってきます。
一般的にはあまり意識されていませんが、
決算書は、その会社が来期以降も継続する
という前提で作成されています。
でも、事業の継続が難しそうであるにもか
かわらず、継続するという前提で決算書を
作成すると、決算書に記載された資産の額
は、会社を実際に清算したときの金額より
も多くなってしまうので、継続できそうに
ないときは、継続できないという前提で決
算書を作成しないと正確な決算書にはなり
ません。
そのため、監査法人は、監査対象の会社が
来期以降も継続する見込みがあるかどうか
を確認しなければなりません。
そこで、前述の家電メーカーのように、多
額の赤字を計上したときは、監査法人によ
る「ゴーイングコンサーン」の判断が、大
きく注目されることになります。
ここまでが前振りなのですが、今回、なぜ
ゴーイングコンサーンについて述べたのか
というと、銀行も融資をしている会社に対
して、毎年、その会社が来期以降も継続す
るかどうかを見極めているということにつ
いて触れたかったからです。
もちろん、問題になるのは、「ゴーイング
コンサーン」に疑義がある会社に対してな
のですが、そういう会社に対しては、銀行
によって対応が分かれます。
ひとつは、すぐに融資を引き揚げようとす
する銀行と、もうひとつは、その会社を引
き続き事業が回復するまで支えようとする
銀行です。
もちろん、融資相手の会社を支えようとす
る銀行は、自行の融資を回収したいという
目的もありますが、仮にその会社の事業が
行き詰まったときの地域経済への影響を未
然に防ごうという、銀行としての使命感を
持っているので、そのような判断に至るわ
けです。
とはいえ、このゴーイングコンサーンに疑
義がある会社への支援は、銀行側もできれ
ば避けたいと考えています。
なぜなら、労力もかかる上に、銀行もその
融資相手の事業が回復しなかったときに、
損失を被ることになるからです。
ただ、それができるかどうかが、銀行の腕
の見せ所でもあり、銀行の真価が問われる
ところでもあります。
仮に、融資している会社が危なくなったと
き、すべての銀行が手を引いたとしたら、
社会から銀行は大きな批判を浴びることに
なるでしょう。
私が銀行に勤務していたときは、この融資
相手を支える場面を何度も見て来ており、
そのような中で自分も融資相手を支えるた
めに働くことができたことは、いまでも貴
重な経験になったと思っています。
私はこのような経験があったことから、フ
リーランスのコンサルタントになった今で
も、その考え方をもって顧問先の事業改善
のお手伝いに臨んでいます。
「コンサルタント」と名乗る人の中には、
顧問先の太鼓持ち的な存在になっている人
もいますが、そのような人は、顧問先の業
績が傾くと、すっといなくなってしまいま
す。
やはり、コンサルタントの真価が問われる
のは、顧問先が苦しいときにどれだけ頼っ
てもらえるかだと思っています。
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