鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

お客さまは神さまか?

歌手の故三波春夫さんの、「お客さまは神

さまです」というフレーズはあまりにも有

名です。


よく、事業に携わっている方は、しばしば

このフレーズを口にしていると思います。


ところが、三波さんの長女の美夕紀さん

は、このフレーズは誤解されていることが

多いということを、ホームページに書いて

います。


(ご参考→ https://bit.ly/1r4J08N


美夕紀さんによれば、誤解される例は、買

い物客がお店の店員さんに、「自分はお金

を払うお客で、神さまなのだから、もっと

丁寧に接しなさい」というように考えると

きだと言います。


では、三波さんの真意はどういうことなの

かというと、「完璧な芸をお客に見てもら

うためには、あたかも神さまの前で祈ると

きのように、雑念を払って澄み切った心に

ならなければならないので、お客さまを神

さまであるとみなして歌を唄う」というこ

とのようです。


この三波さんの考えは、その通りだと思う

のですが、「お客さまは神さま」だけが切

り取られてしまうと、前述のように、「お

客さまのいうことは何でもきかなければな

らない」と三波さんが言っていると勘違い

しやすくなってしまうと思います。


ところで、今回、「お客さまは神さま」と

いうフレーズを取り上げたのは、これを、

さらに、別の意味で使っている例などを、

ときどき目にすることがあるからです。


ひとつは、「お客さまは神さま」を言い訳

にする例です。


というのは、自社の事業が赤字になったと

き、「お客さまは神さまだから、仕方がな

い」というように使われるときです。


このように、赤字の原因を神さまのせいに

されては、神さまは迷惑でしょう。


そもそも、神さま(=お客さま)が不採算

の取引を要求したとしても、それを拒むこ

とはできたはずです。


(実際には、取引を断ることは簡単なこと

ではありませんが、少なくとも、不採算の

取引に応じる義務はありません)


赤字の真の原因は、経営者が、採算の得ら

れる顧客を見つけられない、または、採算

の得られる製品を作ることができないとい

うことであって、それを神さまの責任にす

るということは、単なる責任転嫁です。


ふたつめは、厳密には誤った使い方ではな

いのですが、「お客さまは神さま」という

言葉を使って短絡的思考になってしまうこ

とです。


マーケティングには、「カスタマーオリエ

ンテッド」という考え方があります。


これは、「顧客の満足度や利便性を第一に

する」という考え方です。


でも、これは手段であり、目的ではありま

せん。


顧客を満足させることは、自社の利益を獲

得するための手段であり、顧客を満足させ

だけでは本当に目的を達成したことにはな

りません。


例えば、「お客さま第一」という掛け声の

もと、商品を安売りして自社の利益を減ら

したり、営業時間を長時間にして、延長し

た時間から得られる利益よりも運営コスト

を増やすことは、間違った手法です。


単に、お客をよろこばせるだけであれば、

それは採算を考えなければ容易にできるわ

けで、避けなければならないことなのです

が、「お客さま第一」という大義名分をか

かげて不採算のことをしてしまう例も少な

くないようです。


今回の記事の結論は、お客さまは神さまと

考えることが間違っているわけではないの

ですが、どんな活動も自社の利益増加につ

ながる活動でなければ、無意味、または、

事業に悪影響がでるので、よく注意するこ

とが必要ということです。

 

 

 

 

 

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