鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

人は肩書に頭を下げる

以前、あるメガバンクのOBという、Bさ

んから、次のようなお話を聴きました。


Bさんが銀行に勤務していた時、Bさんが

担当していたある病院を訪問するときは、

毎回、医師の方や婦長さんから深々と頭を

下げられるなど、丁寧に迎えいれられたそ

うです。


しかし、Bさんが銀行を退職し、別の会社

に勤務することになったのですが、その会

社も、かつてBさんが担当していた病院と

取引があったそうです。


そして、あるときその病院を訪問すると、

自分が銀行に勤めていたときとは違って、

いわゆる「出入り業者」のような扱いを受

けたということです。


Bさん自身も、銀行を退職するとこうなる

であろうことは分かってはいたけれども、

実際に、勤めている会社が変わるだけで、

人の扱いが180度変わるということを体

験して、やはり衝撃を受けたそうです。


さらに、Bさんからは、もうひとつお話を

ききました。


Bさんが、都内のある支店の副支店長を務

めていたとき、その店の近隣に司法書士

務所を開業したばかりの司法書士の方の訪

問を受けたそうです。


その司法書士の方は、だれでも知っている

大手企業の部長で定年を迎え、退職後に司

法書士の資格を取得して事務所を開いたそ

うですが、まだ初対面でもあるにもかかわ

らず、いきなりBさんに向かって、「これ

から、おたくの支店の不動産担保設定の登

記申請は、私のところに依頼しなさい」と

命令口調で依頼してきたそうです。


これに対し、Bさんは内心は驚きつつも、

冷静に、「当店は、すでに何人かの司法書

士の方に不動産担保設定の登記申請を依頼

しておりますし、必ずしもあなたの事務所

に依頼する義務はありませんので、また、

何かのご縁がありました際はお願いしたい

と思います」と回答したそうです。


そして、半年ほど経ってから、また、その

司法書士の方が支店を訪れたそうです。


しかし、その時は、前回、訪問を受けた時

とまるで別人のように、「どうかうちの事

務所にも登記申請を依頼してもらえないで

しょうか?」と、丁寧に依頼をしてきたと

いうことです。


その司法書士の方は、退職後も「部長」の

肩書が通用すると思っていたわけですが、

半年経って、それは通用しないということ

を身をもって理解したのでしょう。


このお話をしてくれたBさんは穏やかで紳

士的な方だったので、当然、「人は肩書に

頭を下げている」ということを理解してお

られたようで、前述のようなお話を笑い話

として私にお話してくださいました。


ところで、この「肩書」は、会社などの組

織を離れれば通用しなくなるということは

多くの方が理解していると思うのですが、

それでも失敗してしまう人は少なくないよ

うです。


そして、私がBさんから聞いたお話を記事

にした理由は、退職後も肩書が通用すると

思ってしまう理由と、独立して起業した人

が「こんなはずではなかった」と感じてし

まう理由は同じだと思ったからです。


人は組織に所属することによって、恩恵を

受けることもありますが、負担と感じるこ

ともあります。


しかし、きちんと意識していないと、受け

ている恩恵は当たり前と感じるようになっ

てしまう一方で、自分が感じる負担だけを

避けたくなり、そう考えてしまっている人

が実際に起業をしてみたら、「こんなはず

ではなかった」というように、会社から受

けていた恩恵の大きさを実感するのだと思

います。


会社を離れても肩書が通用すると思ってし

まう人も、他人が自分に頭を下げてくれる

のは、まず、会社があって、その会社の中

で権限や地位を与えられているということ

を忘れ、部下や社外の人が自分の命令をき

くのは、「自分だけ」が優れているからだ

と勘違いしてしまうからでしょう。


このような「勘違い」は慢心から起きるこ

とでしょう。


そして、ほとんどの人は慢心をしてしまう

ので、前述のような勘違いを完全には防ぐ

ことは難しいでしょう。


ただ、人はひとりで活動するよりも、組織

で活動することで大きな成果が得られると

いうことを理解していれば、「あの人が自

分に頭を下げているのは、自分は組織に属

しているからだ」とか、「自分が業績をあ

げているのは、組織に属しているからであ

り、もし、自分ひとりで事業をしたらこう

はいかないだろう」と考えることがで、慢

心することも防ぐことができるでしょう。


ちなみに、本旨からはそれますが、「組織

の力」を理解している経営者は、単に、部

下に対して「業績をあげろ」などとは口に

せず、「どうすれば、もっと組織としての

力を高められるだろうか」ということを考

えながら、「経営」に臨んでいるのだと思

います。

 

 

 

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20190403121919j:plain

 

 

 

 

 

 

 

●当事務所の4月~5月の予定をお知らせ

します。

 

 

 


スカイプ相談実施日」

4月9日(火)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「信用保証協会徹底活用セミナー」

4月15日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ http://bit.ly/L3TmzF

 


スカイプ相談実施日」

4月23日(火)

詳細とお申込み→ https://goo.gl/fShaEi

 


「経営入門セミナー」

4月26日(金)19:00~21:00

詳細とお申込み→ https://goo.gl/RPrb63

 

 

「融資に強くなる勉強会」

5月6日(月)13:00~15:00

詳細とお申込み→ http://amba.to/2Uccjhu