鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

借りることを目的にしてはいけない

私は、かつて銀行に勤務していましたが、

銀行在職中に中小企業診断士の資格を取得

しました。


当時の銀行は、職員に対して中小企業診断

士の資格取得を奨励しており、資格取得を

希望する職員のために、銀行が、中小企業

診断士の講師を銀行に招き、資格取得のた

めの講義を開いていました。


その際、その講師の方は、私を含めた受講

者に対し、「この講義は、中小企業診断士

になるための講義ではなく、中小企業診断

士試験に合格するための講義と割り切って

欲しい」ということをお話しされました。


中小企業診断士試験に限らないと思います

が、ペーパーテストでは、資格に本来求め

られる能力のすべてを試すことはできない

ので、試験に合格したことと、その資格を

有するものとして一人前になるということ

は異なることがあります。


ただ、私たちは、仕事をしながら受験勉強

もしなければならず、その時間が限られて

いることから、前述のように、試験に合格

するためだけの講義とすることはやむを得

ないと感じました。


ちなみに、講義の受講者は約20名でした

が、約1年間の講義に皆勤できる人は少な

く、合格する人は1人から3人という厳し

い状況でした。


ここまで長い前振りでしたが、これから本

題に移ります。


私は、中小企業診断士試験の勉強は、試験

に合格するためだけの勉強と割り切ってい

たと書きましたが、その一方で、自分を棚

に上げるようですが、銀行から融資を受け

ようとする方は、「融資を受けることをだ

け目的として銀行に折衝すること」は避け

るべきと考えています。


このように書くと、「融資を受けることさ

え容易ではないのに、さらに負担を重くす

る方がよいという考えはおかしい」と考え

る方も多いと思います。


しかし、「融資を受けることが容易ではな

い」会社こそ、本当の課題は、融資を容易

に受けることができるようにすることでは

なく、「融資を受けることが容易ではない

状況」を改善することです。


もし、「融資を受けることが容易ではな

い」会社が容易に融資を受けることができ

てしまえば、「融資を受けることが容易で

はない」状況を改善する機会を失ってしま

います。


このように書くと、建前を述べているよう

に思われてしまうかもしれませんが、これ

までの私の経験では、「融資を受けること

が容易ではない」会社は、融資を受けるこ

とができさえすればよく、事業を改善する

ことにはあまり関心がない会社が多いと感

じています。


業況がよくなくても融資を受けることがで

きれば、わずかな期間でも事業を継続する

ことができますが、本当に事業を継続でき

るようにするために必要なことは、業績を

改善することです。


単に、融資を受けることだけで事業を継続

しようとしていると、早晩、事業は行き詰

まってしまうことに間違いはありません。


具体的には、融資の依頼をして断られた場

合には、どうすれば融資を受けることがで

きるようになるかを銀行から聞き取り、そ

れを自社の課題として取り組むことが求め

られます。


銀行から融資を断られた時、ほかに融資を

してくれそうな銀行を探し回ったり、「融

コンサルタント」に代わりに折衝しても

らうことを繰り返すだけでは、経営者の本

当の役割を果たすことにはならないでしょ

う。

 

 

 

 

 

 

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