鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

新手法の融資でも融資額は増えない

最近、新たな融資手法に関する記事がたく

さん報道されています。


人工知能が預金口座の資金の動きを見て審

査するAI融資、フィンテックを駆使し、

POSレジのデータなどで審査が行われる

融資、ウェブで出資を募るクラウドファン

ディングなどがあります。


私は、会社の資金調達方法が多様化するこ

とは、よろこばしいことと思っているので

すが、新たな融資手法を紹介する報道機関

は、「銀行融資に代わる融資手法」という

ような前提で紹介しているようです。


私も、融資が不得手な銀行は淘汰されるべ

きと思いますが、一方で、新しい融資手法

が銀行融資に代わるという考え方にも疑問

を感じます。


新しい融資手法が銀行融資に代わると考え

る報道機関は、銀行は融資審査の技法に限

界があるが、新しい融資手法は銀行より優

れた融資手法で審査するので、銀行が融資

しない会社にも融資するということを言い

たいのだと思います。


しかし、これには逆のことも言えます。


すなわち、仮に、銀行の融資審査が稚拙で

あるとすれば、融資してはいけない会社に

融資をしている可能性があり、新しい融資

手法ではそれを見抜くことができることに

なります。


したがって、融資審査の技法が精緻化する

ことは評価されるべきことと思いますが、

そのことは必ずしも融資額を伸ばすことに

はつながりません。


また、融資を増やす要因は、融資審査の技

法の精緻化だけではありません。


融資をする側が、どれくらいリスクをとる

ことができるかということも重要な要素に

なっています。


具体的には、多くのリスクをとることがで

きる銀行は、資産規模が大きいこと、債権

回収能力が高いこと、融資相手の事業再生

ノウハウを有していることなどの条件を満

たしています。


では、なぜ、報道機関は新しい融資手法が

銀行融資に代わるという見方をしているの

かというと、それは、銀行が融資を伸ばさ

ない理由を、銀行が融資技法を磨かないか

らだとしか考えていないからでしょう。


融資審査能力の高くない銀行があることは

事実ですが、それが融資が伸びない根本的

な理由ではありません。


文字数の兼ね合いで詳細な説明は割愛しま

すが、経済活動が縮小する中にあっては、

融資需要も伸びず、供給側が過剰な状態に

なっていることが、最も大きな原因である

と私は考えています。


今回の記事の結論は、新しい融資手法は活

用されるべきですが、それで融資額が増え

る抜本的な要因にはならないということで

す。

 

 

 

 

 

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