株式会社玉子屋社長の菅原勇一郎さんのご
著書、「日替わり弁当のみで年商70億円
スタンフォード大学MBAの教材に東京大
田区・弁当屋のすごい経営」
( https://amzn.to/2FJI6ih )を拝読しま
した。
同社では、450円のお弁当を1日で最大
7万食供給し、年商70億円にまで拡大し
ましたが、なぜ、450円の弁当だけでそ
れだけ成長できたのかということについて
菅原さんは同書で述べておられます。
それは、端的に述べれば、「玉子屋に集
まってくるのは、世間でいう『優秀』な人
材ではなく、学校で落ちこぼれたり、挫折
をしてドロップアウトしたような人間が多
い」ので、そのような「悪ガキ」を積極的
に採用して「戦力」に育てあげる能力だと
いうことです。
ただし、私は、なぜそのようなことができ
るようになったのかというところに関心を
持ちました。
それは、失敗を転機にしていることです。
菅原さんが中学生のとき、先代社長の時代
に、当時、玉子屋の弁当の4割を納めてい
た三井造船で集団食中毒が起きました。
その時、先代社長は会社が倒産することを
覚悟したそうですが、社員のひとりが「僕
やめないですから、大丈夫ですよ」とつぶ
やいたことがきっかけで、先代社長は再ス
タートを決意したそうです。
このとき、先代社長は、衛生管理を徹底す
るために、洗米、炊飯、蒸らしまでを1台
でできる炊飯器や、ご飯を弁当箱ひとつず
つに分けて入れる飯盛機を導入したことな
どが、同社の事業改善の転機になったよう
です。
ただ、それも社員のひとことがなければ、
先代社長の再起の決意もなかったわけで、
これは菅原さんは言及していませんが、同
社では社員が働いてくれることそのものが
ありがたいと考えているからこそ、社員の
育成に注力できるようになったのではない
かと思います。
他の例としては、菅原さんが社長になって
から、菅原さんの判断で、生ごみを焼却す
るシステムを7,000万円かけて導入し
たものの、煙が出るために近所から苦情が
出て、稼働を諦めざるを得なくなったこと
がありました。
ところが、焼却システムの失敗を見た工場
長が中心になり、業務改善を行った結果、
年間3,500万円のコスト削減ができた
そうです。
すなわち、焼却システムそのものは無駄に
なったものの、それがきっかけで、社員が
努力して年間3,500万円のコスト削減
を実現するという成果が得られました。
ここでも、菅原さんは、社員のありがたさ
を実感したのでしょう。
今回は、実例紹介にとどまりましたが、失
敗を社員がカバーする、そして、経営者は
社員を育成するという好循環が玉子屋の強
さの根源ではないかと、菅原さんの本を読
んで感じました。
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