先日、会社がリースを利用したときの、融
資審査への影響についてご質問を受けまし
た。
(ここでは、リース取引について、その代
表的な契約である、所有権移転外ファイナ
ンスリースを前提に説明します。
一般的に、単にリースというと、この所有
権移転外ファイナンスリースのことをを指
します)
結論としては、未経過リース料相当額の融
資を受けているとみなされて、融資の審査
が行われると回答しました。
(厳密には、未経過リース料には利息相当
額が含まれており、リース会計基準で計上
することになっているリース債務の金額と
未経過リース料の額は異なりますが、ここ
ではほぼ同じ額として説明します)
ところで、かつては、「リースを利用する
と貸借対照表はスリムになる」などといわ
れていました。
例えば、800万円の融資を受けて、これ
に自己資金200万円を合わせて、1,0
00万円の機械を購入した時、資産は1,
000万円増え(厳密には、機械の購入代
金と融資の差額の200万円分の手もと現
金が減少するので、資産全体の増加は80
0万円)、負債も800万増えます。
一方、リースを利用した場合、かつては、
リースは賃借料(リース料)を支払って、
リース会社の所有する機械を借りていると
いう考え方で会計処理をしていたので、
リース契約を結んでも、貸借対象表が膨ら
むことはありませんでした。
しかし、リース会計基準により、平成20
年以降は、リース契約を結ぶと、リース物
件相当額を「リース資産」という科目で資
産に計上し、同額を「リース債務」という
科目で負債に計上することになりました。
すなわち、会計の考え方では、リースは賃
貸借契約ではなく、融資契約を結んだ場合
と同じ考え方で会計処理をするということ
です。
ただし、中小企業では、リース会計基準に
必ずしもしたがう必要はなく、多くの会社
は、賃貸借契約をしているという考え方で
会計処理をすることが認められています。
ただし、その場合であっても、未経過リー
ス料(貸借対照表の作成基準日より後に、
リース会社に支払うことになっている、残
りのリース料)を、貸借対照表の欄外に記
載することになっています。
結果として、残りのリース料を負債として
計上する(オンバランス)のか、貸借対照
表の欄外に記載(オフバランス)するのか
の違いで、中小企業であっても、未経過
リース料は負債と同じということになりま
す。
(オフバランスとされている項目は、負債
ではないという考え方もありますが、ここ
では、将来支払う義務があるという観点で
融資と共通しているので、未経過リース料
は債務と同等と、私は考えています。
そこで、前述のように、リースを利用して
いる会社は、融資審査においては、未経過
リース料相当額の融資を受けているとみな
されるということになります。
(銀行によっては、この記事とは異なる考
え方をしていることもありますので、あら
かじめご了承ください)
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