3か月ほど前のことですが、作家の竹田恒
泰さんが、来年行われる改に関し、「元号
の改元に際して起こる、国民の生活の考慮
は一切しないくていい」ということを、テ
レビ番組の中でお話されておられました。
これに関しては、さまざまな見方があるの
で、必ずしも竹田さんの考え方が正しいと
は言えませんが、私も、これには一理ある
と感じました。
なぜなら、改元の負担を否定するなら、西
暦だけを使えばよいのであって、あえて元
号を使っているということは、改元の負担
があることが前提だからです。
改元にはそれなりの意味があって行うもの
なので、そもそも改元を負担と考えること
は筋違いという考え方は、理解できます。
瑞岩寺の住職の長谷川俊道さんから、最近
は、子どもがいる人でも、自分を永代供養
してほしいと希望する人が増えているとき
きました。
なぜ、永代供養を望む人が増えているのか
というと、自分が墓に入った後、子どもた
ちにお墓を管理する負担をかけたくないと
考えているからだそうです。
お墓についてどう考えるかは、個々人の自
由なのですが、私は、この考え方は、前述
の改元に関する考え方と同様に、筋が通ら
ないと感じました。
お墓は、実態として、遺族が個人を供養す
るためにあるものなので、そのことを負担
と考えることは筋が通らないのではないか
と思います。
念のために付言しておきますと、私は、遺
族が故人のお墓を管理しなければならない
ということを主張しているのではありませ
ん。
宗教的な意味合いは別なところにあるかも
しれませんが、実態は、お墓は故人のため
というよりも、遺族のためにあるものであ
り、故人のお墓を不要と考えるのは、故人
(になる予定者)ではなく、遺族が考える
ことだということです。
今回、改元やお墓について言及したのは、
ビジネスにおいても、本来は手間をかける
べきことを、表向きは「面倒なこと」と否
定的に評価し、その実態は単に「手抜き」
をしているという例が多いのではないかと
感じたからです。
これは、ひとつに限らずたくさんあると思
いますが、私がよく目にする例は、経営者
の方が、「銀行との融資交渉は面倒だから
コンサルタントに代わりに交渉してきても
らいたい」という要望を出すことです。
経営者の場合、従業員と異なり、苦手であ
るからといって、ほかの誰かに頼むという
ことは、避けなければならないことは、多
いと思います。
銀行との融資交渉についても、詳細な部分
に関する説明は、経理部長や外部専門家に
任せることは問題ないと思いますが、基本
的な部分や重要な部分は社長からききたい
と銀行は考えるし、それをしてもらえない
場合は、社長の姿勢を疑うことになりかね
ません。
だからといって、一切の効率化を進めるべ
きではないということではなく、ルーチン
ワークなどは効率化を進めるべきとは思い
ますが、その一方で、面倒なことが必ずし
も不必要なこととは限りません。
繰り返しになりますが、重要なことであり
ながら、それを経営者の方が苦手であるた
めに、面倒なことと言い換えて退けてしま
うということは避けなければなりません。
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