鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

値決めは経営

稲盛和夫さんの有名な言葉に「値決めは経

営」というものがあります。


(ご参考→ https://goo.gl/mDCwLw


これは、商品(製品)の値段を決めること

は、経営者が決めなければならないくらい

重要なことがらという意味なのだと思うの

ですが、実は、稲盛さんの主旨を正確に理

解していません。


ただ、これまで、私が事業改善をお手伝い

してきた会社を見ると、確かに、経営者の

方が能動的に商品価格を決めている会社は

少ないと感じています。


では、稲盛さんご自身が、どのように値決

めをしていたのかということについては、

私は知らないのですが、よい値決めの例と

しては、ソフトバンク孫正義さんが、日

本で初めてiPhoneを発売した時の価

格の決め方ではないかと思っています。


iPhoneの卸価格は米国通貨で499

ドル、すなわち、約55,000円といわ

れている一方で、孫さんは、日本での販売

価格を23,0404円にしています。


(ご参考→ https://goo.gl/6AAbgc


もちろん、iPhone本体を逆鞘で販売

しても、ソフトバンクは通信料収入で、採

算は得られるという計算はあるでしょう。


とはいえ、孫さんには、iPhoneの販

売を契機に、自社のシェアを増やすには、

どの価格で販売すればよいかということを

深く検討をして決めたのだと思います。


一方、前述したように、中小企業の中で、

自社の商品(製品)価格を能動的に決めて

いる会社は少数のようです。


それは、いうまでもなく、価格競争が激し

いからです。


では、なぜ価格競争にさらされるのかとい

うと、厳しい言い方ですが、その会社の商

品(製品)が競争力がない商品(製品)だ

からです。


これを言い換えれば、中小企業は、経営資

源の多い会社が得意とする薄利多売の戦術

ではなく、経営資源の少ない会社でも強み

を発揮できる、付加価値の大きな商品(製

品)を販売する戦術をとらなければならな

いということです。


これについては、以前、税理士の岡本吏郎

さんの意見をご紹介しましたが、岡本さん

によれば、従業員ひとりあたり1,500

万円の付加価値が得られなければ、経営は

安定しないと述べておられます。


(ご参考→ https://goo.gl/wXT4ja


この、1,500万円という金額の妥当性

については意見が異なる方もいると思いま

すが、中小企業は十分な付加価値が得られ

なければ、経営が安定しないという点につ

いては間違いがないと思います。


そこで、十分な付加価値が得られるだけの

「値決め」を経営者の方ができるかどうか

ということが、中小企業にとって大切にな

るということが、今回の記事の結論です。


私の理解では、「値決めは経営」という稲

盛さんの言葉の意味は、もちろん、値決め

は経営者が決めるくらい重要という意味も

ありますが、それだけではなく、自社の経

営が安定するような商品(製品)の価格が

いくらであるかを経営者が明確にし、それ

が実現するようなしくみを構築することが

必要だという意味であると、私は考えてい

ます。

 

 

 

 

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