鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

データ収集の大切さ

先日、日報コンサルタント(クライアント

の書く日報を活用して、クライアントの事

業を改善していくコンサルタント)の中司

祉岐(なかつかよしき)さんのメールマガ

ジンにを拝読しました。


そこには、中司さんの知人の日報コンサル

タントのOさんと、Oさんから日報コンサ

ルティングを受けている、婦人服店のオー

ナーのYさん(女性)の会話が紹介されて

いました。

 

「Oさん:Yさんのお店には、どのような

方が最も多く来店されていますか?


Yさん:当店には、看護師さんや介護士

んが最も多く来店しています。


Oさん:それでは、さらに売上を増やす方

法を検討するために、お客さまに関する情

報を詳しく集めてみることにしましょう。


まず、看護師さんなどを含め、どんなお客

さまが何人来店するのかを、毎日チェック

し、日報に書いてみてください。

 

(その1か月後)Yさん:私、すごい思い

違いをしていたみたいで、お客さまの中で

看護師さんが最も多いと思っていたのです

が、実際に日報でチェックしてみると、看

護師さんの数は、お客さま全体の2割弱ぐ

らいで、私が思っていたほどではないこと

がわかりました。


Oさん:日報のデータを見たら、最も多い

お客さまは主婦のようですが、なぜ、思い

違いが起きたのでしょう?


Yさん:多分、看護師さんは、たくさん服

を買ってくれるから、印象が強いのかもし

れません。


Oさん:すなわち、客単価が高い人は印象

に残りやすく、客単価が低い人は印象に残

りにくいということですね。


Yさん:自分のお店のお客さまのことは、

自分で分かっていたつもりでしたが、意外

に知らないということが分かり、後頭部を

ハンマーで叩かれたような衝撃を感じてい

ます。


Oさん:では、客単価の高い看護師のお客

さまと、客単価の低い主婦では、どちらが

売上に貢献していると思いますか?


Yさん:看護師さんのような気がするので

すが、きちんと分析していないので、それ

が本当かどうかは分からないです。


Oさん:では、Yさんの次の課題は、大切

にしなければならないお客さま、すなわ

ち、売上に貢献しているお客さまはどのよ

うなお客さまかということを明確にするた

めに、お客さまの分析をするということで

すね」


以上がOさんとYさんの会話ですが、この

Yさんのように思い違いをしている方の例

は、珍しくないと私は感じています。


例えば、私が銀行に勤務しているとき、経

営者の方の自社の業況に対する説明と、決

算書から読み取れる内容に、食い違いがあ

ることは、よく経験しました。


現実的に、会計データを経営判断に活用し

ていない(というよりも、会計データの活

用法を分からなかったり、会計データを収

集したり整理したりしていない)会社は少

なくなく、そのような会社の経営者は、決

算書は見ないで、自分の印象だけで自社の

業況を説明してしまうのでしょう。


そして、この、会計データを経営判断に活

用すべきという内容については、以前にも

述べたので、ここでは、会計データを活用

するようにするための手順について述べた

いと思います。


(ご参考→ https://goo.gl/JVd1Gq


ひとつは、どの数値を管理するかを決める

ことです。


会計の専門家は、あらゆる会計データを見

て、総合的に業況を判断しますが、会計を

学び始めたばかりの方は、効率性の観点か

ら、ポイントを絞って管理することをお薦

めします。


ただし、どの数値を管理すべきかというこ

とは、その会社の業種、事業戦略、経営環

境などによって異なるため、専門家に相談

して決めることをお薦めします。


もうひとつは、会計データを集める労力を

少なくする工夫をすることです。


会計データは、税理士の方が税務申告のた

めに集めている、いわゆる、経理データだ

けではありません。


例えば、Yさんのような、来客数や、お客

さまの職業などの情報や、顧客別、商品

別、地域別ごとの売上高、販売数などの

データは、一般的には経理データには含ま

れません。


そして、税務申告のためのデータを、経営

判断に利用することもありますが、それだ

けでは、十分なデータとはならないことが

多いでしょう。


それでも、最近は、情報技術が進展し、か

つてよりは、経営判断のための会計データ

を集めることが容易になりました。


とはいえ、会計を学び始めたばかりの方

は、少ない労力でどのようにデータを集め

ればよいかということについても、専門家

に相談することをお薦めします。


ただ、これらの会計データの活用は、初歩

的なものとはいえ、やはりご負担と考える

方も少なくないと思います。


しかし、冒頭のYさんのお店のように、会

計データを利用せず、勘で事業運営を行う

ことは、結果として、より効率的な事業を

行う状況に至るまで、遠回りすることに

なってしまいます。


むしろ、きちんと会計データを活用するこ

との方が、労力を少なくし、効率的な事業

運営に資することになるということが、今

回の記事の結論です。

 

 

 

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