鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ずば抜けた意思決定を行うための条件

M&Aに関するコンサルティングを行って

いる、TIGALA株式会社の代表取締役

の正田圭さんのご著書、「ファイナンス

そが最強の意思決定術である」

( https://amzn.to/2QiZBbk )を読みまし

た。


同書に書かれている内容は、特に正田さん

の独自の理論が書かれている訳ではないの

ですが、正田さんの企業価値評価業務など

の経験をベースに、より具体的な切り口で

理解しやすく書かれています。


そして、今回、この本についてご紹介しよ

うと思った理由は、日本では、会計の観点

で意思決定を行っている経営者の方が少な

いと感じているからです。


話がそれますが、経営者の意思決定は、会

計的な観点からのみ行えばよいとは、私は

考えていません。


アントレプレナーシップ起業家精神)の

観点でも判断を行うことが必要だと思って

います。


ただ、会社の事業は、不特定多数の人が関

わっているために、お金を媒介して取引が

行われるので、どうしても意思決定は会計

的な面が中心になります。


一方、私のこれまでの事業改善のご支援の

経験からは、中小企業ではあまり意思決定

は行われていないと感じています。


その理由は、日本の起業家は、正田さんの

ように、投資の観点で起業する人よりも、

圧倒的にアントレプレナーシップを持って

起業する方が多いからです。


しかし、アントレプレナーシップありさ

えすれば事業が成功するというわけではな

く、むしろ、会計的な観点での意思決定を

行うことで、事業に磨きをかけることの方

が賢明と言えるでしょう。


正田さんは、会計的な情報に基づいて意思

決定を行っている人は、ずば抜けた結果を

もたらす意思決定を行えるようになると述

べています。


そして、正田さんはご著書の中で、わらし

べ長者を例に出しています。


わらしべ長者とは、ある貧乏人が観音様の

お告げに従って西へ歩いていき、転んだと

ころで拾った藁に、あぶを縛り付けて歩い

ていたところ、それを見ていた子どもがそ

れを欲しがったので、その子どもの母親が

持っていたみかんを藁と交換し…と、その

ようなことを繰り返しながら、最後に屋敷

を手に入れたというお話です。


正田さんによれば、これは、幸運が続いた

のではなく、わらしべ長者が会計的な意思

決定を行っていった結果だそうです。


すなわち、事業の成果をよりよいものにし

ようとするならば、決して運任せにするべ

きではなく、意思決定を繰り返す必要があ

るということです。


よく、「経営者は数字が読めなければ(会

計の知識がなければ)だめだ」と言われる

ことがありますが、私はこれは不正確で、

「数字が読めない経営者は、意志決定の機

会が少なく、そして、意思決定の精度も低

い」が正しいと思っています。


私は、経営者の方は、会計的な情報に基づ

いて精度の高い意思決定を行うべきだと考

えていますが、それだけでなく、意思決定

の頻度を増やして、よりよい事業の成果を

もたらすことができるようにならなければ

ならないということを、正田さんの本を読

んで改めて感じました。

 

 

 

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