鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

KPIの活用

いま、ビジネスパーソンの方たちとお話し

をしていると、KPI( Key Performance

Indicator ,重要業績評価指標)という

言葉を、たびたび耳にするようになりまし

た。


私としては、多くの会社で活用して欲しい

と考えている、バランススコアカード(B

SC)と関連する言葉であるKPIが浸透

していることはうれしいと感じています。


ただ、「自社でKPIを使っている」と述

べている人であっても、BSCを前提とし

ている訳ではなく、単に自社で重要視して

いる目標数値という意味合いで使っている

ようです。


そのことが直ちに誤っているわけではない

ものの、せっかく「KPIを導入」してい

るのであれば、私はもう少し、本来のKP

Iに近い使い方をしてもらえればと考えて

います。


本来のKPIは、BSCを導入している会

社が立案した経営戦略を実践するにあたっ

て、その戦略がどれくらい奏功しているか

を測るための指標です。


例えば、BSCを導入して業績を改善した

米国のサウスウェスト航空では、定時運行

を行うことで顧客満足度を高めるという戦

略を実施し、それを測るためのKPIを定

刻離着率に、そしてその目標値を90%と

しました。


もちろん、KPIの目標を達成することが

望ましいのですが、本来はKPIの目標を

達成することではなく、その戦略である、

顧客満足度を高めることが最終的な目標で

す。


ただ、KPIの特徴は、戦略がどれくらい

奏功しているかを測定するということだけ

でなく、さらに上位の戦略やKPIと連関

しているということです。


前述のサウスウェスト航空の例では、定時

運行によって、顧客を増加させることや、

航空機を減らすことを戦略とし、それぞれ

のKPIに売上高、リース料を設定してい

ます。


したがって、定刻離着率というKPIは、

売上高やリース料という、さらに上位のK

PIを支える指標になっています。


すなわち、売上高を増やしたり、リース料

を減らすには、定刻離着率を高めることで

達成しようとしているわけです。


そして、売上高が増加したり、リース料が

減少すれば、最終的な目標値である、KG

I( Key Goal Indicator ,重要目標達成

指標)を高めることになります。


ちなみに、これまでの説明でわかる通り、

KGIはKPIの最上位にある指標であっ

て、それぞれ個別に設定されるのではな

く、まず、KGIを達成するための第一段

階のKPIが設定され、そのKPIを達成

するために、さらに第二段階のKPIが設

定されるというように、階層的になってい

る点が特徴です。


このように、個々のKPIが達成されるこ

とで、KGIも達成されるという点が、単

なる重要な目標値と異なる点です。


そこで、私は、いきなりBSCを導入する

ことが難しい会社に対しては、KGIとK

PIの設定だけを提案しています。


多くの場合、KGIは利益額となります


が、その利益額を増加させるには、いくつ

かの方法があります。


売上を増加させたり、粗利率を高めたり、

回転率を増加させたり、経費を減らしたり

といったいくつもの方法があります。


そして、それらのKPIを階層化していく

と、やがて、部門や従業員個人で達成すべ

きKPIに行きつきます。


そして、その部門や個人のKPIを、その

部門や個人のKGIとして、さらに、部門

や個人の達成すべき目標としてのKPIを

階層化していきます。


こうすることで、単にいくつものお互いに

無関係な目標が与えられるということでは

なく、お互いに連関性のある有機的な目標

が与えられることになり、的を絞った活動

ができるようになるほか、自分の達成すべ

き目標が、会社全体の目標につながってい

るということが明確になるので、士気の向

上にも寄与します。


ただし、注意する点が2つあります。


ひとつは、個々人の目標と会社全体の目標

の関係が明確になることは、仮に、会社全

体の目標が達成しなかったときに、その原

因もどこにあるのかも明確になります。


そのことが原因で従業員の士気が下がるこ

とのないよう、経営者の方は、達成しそう

にないKPIがある場合は、その部門や個

人を支援したり、KPIの設定が適切で

あったかどうかを検証したりする必要があ

ります。


もうひとつは、KPIを多くしすぎないこ

とが大切です。


KPIを多くしてしまうと、数字の達成だ

けに気を取られてしまい、本来の目標を見

失ってしまう可能性も高まります。


とはいっても、どれくらいのKPIが適切

かということも、一概には述べられません

が、過度にKPIだけを重視することのな

いように留意しなければなりません。

 

 

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