鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ベネフィットだけを売る

マーケティングにおけるメリットとベネ

フィットの話は多くの方が耳にしていると

思います。


念のため、メリットとベネフィットについ

てあらためて説明すると、メリットは、性

能、価格、デザインなど、購入した人に

とって有利な商品の特徴で、ベネフィット

は、その商品のメリットから得られる恩恵

や便益のことを指します。


そして、顧客は商品を買うのは、メリット

があるからではなく、ベネフィットがある

からであり、そのような視点で商品を販売

することが大切だと言われています。


この考え方で有名なエピソードが、米国の

経済学者のレビットの著書「マーケティン

グ発想法」( https://amzn.to/2ItzDxm )

の中に書かれていた、「ドリルを買いに来

た人が欲しいのは、ドリルではなく、穴で

ある」という言葉です。


この考え方は、すでに多くのビジネスパー

ソンに理解されているとは思いますが、そ

れでも、実際の取引においては、商品を販

売することが基本であり、そのためにベネ

フィットに焦点をあてているに留まってい

ると思われます。


しかし、最近は、ベネフィットだけを販売

する事業が増えているようです。


そのひとつの例が、日経ビジネス2018

年5月14日号に紹介されている、男性向

け洋服シェアリングサービス

「leeap」です。


(ご参考→ https://goo.gl/jvWN2u


このサービスは、毎月定額を支払うことで

流行の服をシェアしてもらうことができま

す。


服は自分のものにはならないものの、“間

違いない”流行の服を着ることができる、

保管、クリーニング、廃棄などの手間を省

くことができるため、需要が拡大している

そうです。


このシェアサービスは、服のレンタルとい

うようにも言えると思いますが、利用者に

とっては、自分で選ぶ手間を手間を省いて

流行の服を着ることができる、服を所有す

ることによる負担を省くことができるとい

うように、どちらかと言えば衣服の管理の

代行をしているということもできます。


そして、このようなサービスによって、衣

服のシェアサービスの利用者は、かつては

服を買うことで得られたべネフィットを、

服を買うことなく享受できるようになった

と私は考えています。


もちろん、商品の中には、家屋、高級車な

ど、所有することそのものがステータスで

あり、ベネフィットになるというものもあ

りますが、ベネフィットが所有することで

ないものであれば、服のシェアサービスの

ようなものの方が、利用者にとっては合理

的と言えるでしょう。


ここまでベネフィットに焦点を当てて述べ

てきましたが、単に、ベネフィットにより

注目したマーケティングを実践することを

薦めようとするわけではありません。


前述のようなシェアサービスが伸びてきた

背景には、現代はものがあふれているため

に所有することにこだわらない、そして、

時間を節約することに価値を感じるという

人が増えているという状況があると思いま

す。


さらに、利用者はベネフィットさえ享受で

きれば満足するので、商品そのものはシェ

アすることで購入するよりも安価にベネ

フィットを得ることができるようになりま

す。


一方、従来の商品の売り手は、売り方には

工夫をしてきたものの、商品を売ることが

前提になっていると思います。


そこで、より実態に合わせて、ものを売る

ことよりも、ベネフィットだけを売るとい

うことが、現代の時代により適する商法に

なっているということが、今回の記事の結

論です。


これから新しい事業に展開することを考え

ている方は、この観点を取り入れることを

お薦めしたいと思います。

 

 

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