私は、会社の事業を改善するには、月次決
算を行って、毎月、改善活動を行いましょ
うと、機会があるたびに述べてきました。
私のこの考え方そのものは否定はされない
ものの、実際に実践している会社は、依然
として10~20%と言われています。
もちろん、正しい手法かどうかということ
と、実践したいと感じてもらえるかどうか
ということは異なるので、いくら手法の正
しさを主張しても、実践する会社は増えな
いでしょう。
そこで、私は、私が事業の改善のお手伝い
をする会社を観察し、なぜ、月次決算によ
る改善活動が実践されないのかという原因
を探っています。
現時点で、私が感じている原因と思われる
内容は、おおよそ次の通りです。
(1)月次決算を行うには、翌月5日まで
に前月分の経理記帳を終わらせる必要があ
るものの、経理記帳を遅らせずに行うこと
を負担と感じている。
(2)月次試算表は会計事務所が作成して
くれるものの、その見方や、活用の仕方が
わからない。
(3)月次決算による改善活動は、やった
方がいいかもしれないが、直接に収益に結
びつく活動ではないと考えられるので、優
先順位が低くなる。
これらのうち、(1)と(2)はスキルの
問題です。
これらは、私からの呼びかけで実践できる
ようになるし、実践してみて、月次決算に
よる改善活動の効果を感じてもらえるよう
になれば、それが定着します。
現に、業績のよい会社は、月次どころか、
週次、日次で改善活動をおこなっているの
ですから、これは間違いのないことだと、
私も自信をもって断言できます。
そして、(3)が少々やっかいです。
いわゆる、管理過活動は利益をもたらさな
いと考えている人が多いからです。
この考え方は、かつては正しかったと私も
考えています。
(だからと言って、かつては、管理活動が
大切ではなかったということではなく、管
理活動は主に経費を削減する活動という位
置づけであったという意味です)
しかし、現在の管理活動は意味合いが異
なってきています。
例えば、以前にも触れましたが、アマゾン
の商法は、「在庫を武器にする」というよ
うに、何を売るかよりも、どうやって売る
かが現在は重要になってきています。
(ご参考→ https://goo.gl/gfdGSx )
その他にも、同じコンビニエンスストア同
士であっても会社によって業績が異なるよ
うに、改善の度合いで業績に差が現れるよ
うになっています。
すなわち、経済が成熟した社会で競われる
事業では、改善や工夫の差が業績になって
現れます。
したがって、自社の事業について、年に1
回、決算のときにしか業績を確認しないと
いう会社は、毎月業績を確認している会社
と大きな差がつけられてしまいます。
よく、「利益は事業の現場で得られるもの
だ」と考えている経営者の方はいますが、
改善活動も現場であって、決して数字を目
で追うだけの机上の活動ではないと私は考
えています。
もう一歩踏み込んで述べると、黙々と事業
に取り組んでさえいればよいという考え方
は、いまの時代に求められる経営者のそれ
ではなく、改善活動によって自社の事業を
研ぎ澄まされたものにしていく能力こそ、
21世紀の経営者に必須のものといえるで
しょう。
※この記事はメールマガジンでも配信して
います。ぜひ、ご登録ください。→
http://yuushi-zaimu.net/conference/