鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

勝てば官軍

日本マクドナルドの元社長で、故人の藤田

田さんのご著書、「勝てば官軍ー成功の法

則」( https://amzn.to/2KLANpC )を拝読

しました。


藤田さんといえば、型破りの経営者として

知られており、私もそのような印象を持っ

ていましたが、同書を読むと、意外とオー

ソドックスなことが書かれていました。


「これから(この本が書かれた当時は平成

8年)の日本人は、短期的な勝負を狙わな

いで長期的な勝負を狙ってほしい。


私は、このハンバーガービジネスもはじめ

から言っているように30年かかる。


1サイクルは30年だ、30年辛抱すれば

成功できる。


その次はまた次の30年だ、だから30年

間がんばろう。


そうすれば0歳の子が30歳になるから、

その子がハンバーガーを食べて育てば、そ

の次の世代もハンバーガーを食べにくる。


だから30年サイトで見てやろうというこ

とができたのだ」(226ページ)


藤田さんは大胆な経営者というイメージが

あるものの、それは、長期的な視点に立っ

ているからこそ、自信を持って判断してい

るのだということが分かります。


それにしても、22年前とはいえ、当時も

情報技術が進展しており、ドッグイヤー

時代と言われていた時代にあっても、30

年サイクルでビジネスを考えるべきという

のは、私も意外でした。


日本で有数の優良会社となった日本マクド

ナルドも、実は「ローマは一日にして成ら

ず」という考えのもとに築かれたものだと

いうことが分かりました。


もうひとつ意外だったことは、ハンバー

ガーの低価格攻勢です。


「多くの人は、巨大なエネルギーをほしい

と思っていながら、それが時間×努力であ

ることをしらないまま、ひと振りで満塁

ホームランを狙うから、失敗してしまうの

だ。


私は、マクドナルドの社員たちに、『満塁

ホームランを狙うな、一歩一歩でいい、努

力と時間をかければ、巨大なエネルギーに

なるのだ』と、ことあるごとに口を酸っぱ

くして言っている。


ハンバーガーを、100円で売れば3千万

個売れた、80円で売れば5千万個も売れ

た。


これはその前に、210円で売り、130

円で売ってと、一歩一歩、時間をかけて努

力してきた結果なのだ。


だから大成功に至ったのであって、いきな

り80円で売って満塁ホームランを狙って

も、この結果は出なかっただろう」(93

ページ)


ちなみに、同社のハンバーガーは、その後

59円まで値下げされ、現在は、100円

で売られています。


私も、この価格には驚いていますが、何か

特殊な手法があった訳ではなく、地道な努

力の積み重ねだったことが分かります。


私も、長期的な視点での経営や地道な努力

の積み重ねが大切だと述べていますが、藤

田さんのような実例を経験した方がお話し

されることで、説得力が何倍にもなったと

思いました。


ところで、この本のタイトルである、「勝

てば官軍」とは、藤田さんの「ビジネスの

世界は『勝てば官軍』である、敗ければ即

『倒産』しかないのである」という言葉か

らつけられたようです。


これも多くの方が述べておられる考え方だ

と思いますが、経営者にはそれくらいの厳

しさが求められると考えているからこそ、

藤田さんは前述のような着実な戦術を徹底

してきたのだと思います。

 

 

※この記事はメールマガジンでも配信して

います。ぜひ、ご登録ください。→

http://yuushi-zaimu.net/conference/

 

 

f:id:rokkakuakio:20180509175647j:plain