鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

利益はリスクに比例する

「利益はリスクに比例する」ときいて、ほ

とんどの方は至極当然と思われると思いま

す。


でも、ときどき、経営者の方から、「知人

から誘いがあったので、ノーリスクのビジ

ネスを始めることにした」ということをき

くことがあります。


そのような話を聞くと、「そんなうまい話

はない」と思うので、私はあまり関心を寄

せないのですが、ノーリスクのビジネスと

は、例えば、他社の商品を自社の既存顧客

に紹介し、紹介件数に応じて口利き料を受

け取るというようなものです。


このような口利き業は、自社が在庫を持た

ずにすみ、販売すれば手数料が入るという

ことで、一見、「ノーリスク」のように感

じられるかもしれません。


しかし、私は、そのような事業は決して

ノーリスクとは考えません。


なぜなら、自社の既存顧客に口利きを行っ

たとき、それは、自社の信用があるから顧

客は紹介に応じて商品を購入するわけです

が、もし、紹介した商品に欠陥があったと

き、自社の信用を失うというリスクがあり

ます。


もちろん、口利きを始めるときに、その相

手についても信用がおけるかどうかを判断

するわけですが、もうひとつの問題は、そ

の相手の事業については、自社がなかなか

コントロールできないという面もありま

す。


商品を提供する相手は、直接、同社の顧客

に販売するわけではないので、品質管理を

怠ってしまうかもしれません。


それが現実に起きるかどうかはさておき、

少なくとも、ノーリスクと言えないという

ことは明らかでしょう。


顧客へ販売する商品が、自社製品である場

合は在庫リスクなどのリスクが発生します

が、他社の製品であっても信用や品質など

のリスクを負うということになります。


だからといって、必ずしも、口利きをして

既存顧客に他社製品を販売することに問題

があるとは、私は考えていません。


むしろ、自社製品と関連性の高い他社製品

を販売する場合は、他社との連携による、

いわゆる相乗効果を得ることによって収益

機会を増やすことになります。


例えば、訪問介護の事業者が高齢者向けの

携帯電話を取り次いだり、プロパンガスの

販売会社がミネラルウォーターを取り次ぐ

という連携は好事例でしょう。


問題だと思うことは、経営者の方が、ノー

リスクで利益を得ることができると考えて

しまうこと、「ノーリスク」という言葉に

気をとられて、実際にはリスクを負うこと

に気づかなかったり、深く考えずに提携し

してしまうことです。


「利益はリスクに比例する」という真理が

あるわけですから、安易に「ノーリスクの

ビジネス」にのらないよう、経営者の方は

注意が必要でしょう。

 

 

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