先日、コピーライターの川上徹也さんのご
著書「売れないものを売る方法?そんなも
のがほんとにあるなら教えてください!」
( https://amzn.to/2EEFTQl )を拝読いた
しました。
ここには、コロンブスのたまご的な商品の
販売の実例が紹介されています。
「トイレットペーパーの芯30本を1セッ
トにして、『お子さんの工作用にどうぞ』
というフレーズを添えたところ、1セット
500円で売れた」
つて、ビデオカメラを販売するとき、性能
でも価格でもなく、『ビデオで撮影すると
きは、お子さんだけじゃなく、親御さんも
一緒に入ってください、なぜなら、お子さ
んが大人になったとき、自分が子どものこ
ろの姿を見るより、親が若いときの姿を見
る方がうれしいものです』というセールス
トークによって、バカ売れした」
「イタリアの家電メーカーのオイル内蔵型
ヒーターの『デロンギヒーター』は、『寝
室に置いておくと、ひと晩中ホテルに泊
まっているような快適さ』というコピー
フレーズで、温風が出る、騒音がする、換
気が必要、乾燥しすぎるといった、従来の
暖房機の難点によって寝室の暖房を諦めて
いた人に、寝室用のヒーターとして認識さ
れ、ロングセラーとなっている」
「神奈川県川崎市は、湾岸部に巨大な工業
地帯があり、かつては公害問題が起きてネ
ガティブなイメージが持たれていたが、夜
に見る工場はSF映画で見るような幻想的
な夜景であることから、2000年代半ば
ころからその風景は『工場夜景』と呼ばれ
るようになり、工場夜景クルーズや、はと
バスツアーが人気を得るようになった」
これらは同書で紹介されている実例の本の
一部ですが、私が知らないものばかりで、
大いに参考になりました。
ただ、アイディアは斬新なものの、これら
は、「新しい需要を発掘し、需要を掘り起
こすことで製品を販売するようにする、
ンセプト」を忠実に実践しているというこ
とに気づきました。
(ご参考→ https://goo.gl/qmJP7K )
詳細な根拠は割愛しますが、「最近は景気
があまりよくない」と感じている会社経営
者の方が、そう考える原因の多くは、従来
の方法で製品の開発を行い、従来の方法で
製品を販売しているからだと私は考えてい
ます。
従来は、何を造るか、何を売るかという考
え方で事業が行われてきましたが、これか
らは、このような需要にどういう製品で応
じるか、どういう売り方で応じるかという
発想が求められます。
そのような発想に基づいて、新たな方法で
製品の開発をしたり、新たな方法で販売す
れば、川上さんの本で紹介されている事例
のように、新たな需要を取り込むことが可
能でしょう。
ただし、ここで、「そんなに簡単に、新し
い売り方は見つからない」と考える経営者
の方が多いのではないでしょうか?
私もそう感じます。
川上さんの本に紹介されている方法は、コ
ロンブスのたまごのように、最初に思いつ
くことは容易ではありません。
だからこそ、新しい手法を実践できるよう
にするための人材育成が大切であり、組織
的な活動が大切になります。
そして、その人材育成や組織の能力の向上
を上手に行う役割が経営者に求められてお
り、その巧緻が業績になって現れます。
「マーケティングをどうすればよいかとい
うことは、専門のコンサルタントから教わ
ればいい」と考える経営者の方もいると思
いますが、仮に教えてもらうことはできた
としても、実践する従業員の方々にも、そ
れを十分に理解し遂行できる能力が求めら
れるので、単に手法だけを教わればよいと
いうことにはならないでしょう。
どうすれば顧客の需要に応えられるか、ど
こに需要があるかといった、難しい課題を
解決するヒントは、外部から与えられるも
のではなく、常に現場にいる人たちでなけ
れば思いつかないものでしょう。
今回の記事の結論は、現在でも、売れない
ものを売る方法はあるものの、それを開発
したり実践するには、人材育成や組織の能
力を高めていくことが前提になるというこ
とです。
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