かつて、私の顧問先に、ある、建設会社さ
まがありました。
その会社は、自己資本比率が50%を超え
ていたのですが、それでも、銀行から融資
が断られることのないよう、対策をしたい
ということで、私にご相談するようになっ
たようです。
一見、自己資本比率が50%もあれば、銀
行から見ても魅力的な融資先に思えるので
すが、実は、建設会社は、融資には苦心す
ることが多いようです。
というのは、会社そのものの財務体質が良
くても、業界自体が悪化すると、銀行は、
個別の会社の業況ではなく、業界の動向を
見て融資判断をするからです。
(もちろん、会社の財務体質が良くなけれ
ば融資をしてもらえないことは言うまでも
ありません)
そこで、私は、その会社に対しては、毎月
銀行に月次試算表を持って業況の報告に行
くことと、建設業界の先行きが悪化したと
きでも、自社の業況が傾きにくいような独
自性を強めることを提案しました。
この例から私がお伝えしたいことは、いま
融資を得られるかどうかだけでなく、ピン
チのときにも融資を得られるかどうかと見
据えて銀行との関係を強化しておくことが
大切ということです。
また、このように、銀行との関係を強化し
ておくことは、千載一遇のチャンスに遭遇
したときも、「銀行が協力してくれるだろ
うか」という心配をしなくてもすむことに
なり、前向きに事業に取り組むこともでき
るようになります。
よく、「銀行は晴れの日に傘を貸して、ど
しゃぶりの日に傘を取り上げる」と揶揄さ
れますが、どうように、「困ったときだけ
銀行に泣きつく」という会社経営者の方も
珍しくありません。
自分の都合で融資をしたりしなかったりす
る銀行は批判されるべきですが、融資を受
ける側も、自社の都合で態度を変えるとい
うことは望ましくありません。
これは銀行との関係だけにとどまらないこ
とですが、「安きに危うきを忘れず」とい
うことわざが示しているように、長期的な
視点で事業に臨むことが大切ということが
今回の結論です。
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