鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

後継者

結論から書くと、会社は半永久に続くこと

が前提になっている一方で、会社が続くた

めの対策をとっていない会社が多いので、

その対策を早い段階から行うことをお薦め

するということです。


これから、これを順に説明したいと思いま

すが、その前に、ゴーイングコンサーン

ついて触れたいと思います。


ゴーイングコンサーンとは、会計公準のひ

とつで、継続企業の公準ともいわれます。


会計公準とは、詳細な説明は割愛します

が、会計の基本的な前提を指します。


そして、継続企業の公準は、会社は半永久

的に事業活動を行うという前提を指してい

ます。


例えば、5年間使用する機械を購入したと

き、それを購入したときの会計期間だけの

費用とせず、将来の5年間にわたってその

費用を分けることとしているのは、この前

提があるからです。


因みに、ゴーイングコンサーン(Going

Concern)のGoingとは、「順調に継続して

いる」、Concernとは「事業体」という意

味です。


これらを合わせたゴーイングコンサーン

は、本来は前述のような「会社は半永久的

に事業活動を行うという前提」を指すもの

でした。


さらに、現在は、そこから発展して「事業

を継続させなければならないという会社が

担うべき使命・責任」や「事業を継続して

いる会社」を指すようにもなってきていま

す。


ここまで、ゴーイングコンサーンについて

説明しましたが、それは、会社が永久に続

くものなのではなく、会社は永久に続く

「前提」となっているということに言及し

たかったためです。


「前提」と強調したのは、いうまでもな

く、実際は会社には寿命があるからです。


厳格な裏付けはありませんが、日本の会社

の寿命は30年といわれていたり、設立し

て10年で半分の会社は閉鎖になると言わ

れています。


そして、その「寿命」が到来する理由はさ

まざまです。


会社が継続できるようにするには、きちん

と利益を出し続けることが、最もよい方法

でしょう。


しかし、それは直接的な要因であり、実際

に課題として取り組むべきことは、どう

やって利益を上げ続けることができるかと

いうことです。


それは、私は、組織としての習熟度を高め

ることだと考えていますが、それは別の機

会にのべるとして、もうひとつ大切なこと

は、後継者を育成することです。


後継者を育成しなければ、会社の寿命=経

営者の寿命ということになります。


このことは、多くの方にすぐにご理解いた

だけると思いますが、その一方で、後継者

を育成することを意識している人は、ごく

一部であると感じています。


それどころか、多くの経営者の方は、ご自

身は不死身で、ずっと病気もケガもしない

という前提、すなわち、自分がいなくなる

ことはないという前提で事業経営に臨んで

います。


しかし、例えば、銀行は、このような会社

に対しては冷静に見ていて、融資先の経営

者に後継者がいるかどうかということを注

視しています。


もし、後継者がいなければ、経営者の方が

きちんと機能するのは70歳くらいまでで

あり、それ以降は業績が悪化するだろうと

見込んでいます。


もちろん、最近は、M&Aなどが活発に行

われるようになっているので、後継者の有

無だけですべてを判断しませんが、後継者

の候補がいることが銀行に伝わるだけでも

銀行の評価は変わります。


逆に、後継者については、非常に微妙なこ

とがらですので、銀行の方から「あなたの

会社には、後継者になる人がいないのです

か」ということをきくことはありません。


このように、後継者については外部からき

かれることはないため、そのことが、経営

者の方に後継者を意識させないことになっ

てしまっているのかもしれません。


では、銀行に後継者について懸念されない

ようにするにはどうすればよいのでしょう

か。


これはケースバイケースですが、まず、社

長の意思を、次の例のように銀行に伝える

ことです。


(1)子息を経営者にする予定で、現在、

幹部候補として自社で働かせている。


(2)子息を経営者にする予定で、現在、

別の会社に勤務させているが、将来は、自

社の役員に就任させる予定である。


(3)親族に後継者となるものがいない

が、取締役の●●●●を後継社長にするた

めに、育成している。


ただ、このようなことを、多くの人に知ら

れたくないという場合は、口外して欲しく

ないという前提で銀行に知らせることも可

能です。


また、具体的な後継者が周りにいない場合

は、近い将来後継者を見つける、または、

自分がある程度の年齢になったら、M&A

により会社を売却するつもりだと伝えるこ

とも有効です。


なかには、自分の引退をもって会社を閉じ

ることにしている方もいると思いますが、

そうでなければ、後継者を育成すること

が、現在の経営者の重要な役割と認識しな

ければなりません。

 

 

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