鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

銀行職員はなぜはっきりしないのか

先日、知り合いの経営者の方から、銀行の

人ははっきりものをいわないので、融資の

申し込みをした後、どうもすっきりしない

と言われました。


このようなことを感じている経営者の方は

多いと思いますが、これにはいくつかの理

由があります。


その最大の理由は、融資を申し込んで来た

人に、揚げ足をとられることを避けようと

する思惑からです。


このように書くと、自分は銀行に対してそ

のようなことをするつもりはないとお考え

になると思うし、銀行職員側も、多くの人

はそんなことをするつもりはないと考えて

いるでしょう。


しかし、割合としては少ないのですが、正

攻法では融資をしてもらえないとわかって

いる人から、銀行職員の言葉尻をとらえて

なんとか有利に交渉を進めようとする人が

いるため、はっきりしたもの言いはなかな

しにくいという事情があります。


また、ある程度取引がある経営者であって

も、業況が悪化すると人格が変わる人もい

るので、よほど信頼がないと、銀行は本音

を口にしません。


もうひとつは、融資の可否についての認識

の違いがあると思います。


融資申し込みをする側の方たちは、なぜ、

銀行は融資の可否をはっきりできないのか

ということに疑問があると思います。


これは、上から目線のようで恐縮なのです

が、多くの融資先は、融資審査を教科書的

に行うと、断るべきという結果になってし

まうのが実情です。


すなわち、はっきりして欲しいという申し

込み側の要望をそのまま文字通り受け止め

れば、申し込まれた融資案件の70%~

80%は、融資はできないという回答にな

ると、銀行の融資担当をしていた経験があ

るものとして感じています。


よく、銀行はすぐに融資を断わるという印

象を持たれていますが、私は、実態は真逆

で、教科書的に判断したら断るべき融資

を、何とか取り上げられないか可能性を

探っているために、明確に回答できないと

思っています。


これは、銀行出身のある経営コンサルタン

トの方が、メールマガジンに書いていたこ

となのですが、「銀行がなかなか融資をし

てくれないという会社から相談を受けた

が、その会社の融資の状況を見たら、よ

く、銀行はここまで融資をしたという印象

を持った。


むしろ、その会社は、収益を上げるという

経営者の本来の使命を果たすことへの努力

を怠り、銀行から融資を受けることによっ

て事業を継続しようということだけに注力

してきたと考えられる。


しかし、融資によってその会社を支えるこ

とにも限界が来たので、銀行は新たな融資

に難色を示したものと思われる。


一方、その会社の経営者は、自分の本来の

使命をないがしろにして、事業の継続が危

ぶまれることになった原因を、銀行に転嫁

しようとしている」という例もあります。


これは極端な例とは思いますが、そうでな

くても、会社経営者の側から見れば、自社

はよい会社であるし、仮に、現在の業況が

悪いとしても、将来はよくなる可能性が高

いと信じているということは理解できま

す。


しかし、残念ながら、部外者から見れば、

融資は難しいという状況の会社も多いとい

うことも現実だと思います。


とはいえ、それをそのまま銀行職員が会社

経営者に伝えても、まず、受け入れてもら

えることはないと思います。


ですので、「融資は難しい」とは言わずに

「少し検討させてください」などと、言葉

を濁してしまいます。


ここでは、2つの理由をあげましたが、他

にもたくさん理由はあります。


また、融資を申し込む側に原因があるだけ

でなく、銀行の都合によって言葉を濁すこ

とがあります。


それらは、また、別の機会にご説明したい

と思います。


今回の結論は、自社の状況を客観的に見る

ことで、なぜ、銀行が言葉をはっきりさせ

ないのかが見えてくるということです。

 

 

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