鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

エクストリームユーザー

先日、九州大学ビジネス・スクールの講師

の方々がご出演されているポッドキャスト

( https://goo.gl/wGMefU )を聴きました。


その番組で、講師のひとりである岩下仁さ

んが、エクストリームユーザーの活用につ

いてお話しされておられました。


岩下さんによれば、エクストリームユー

ザーとは、作り手の想定を超える方法や条

件で商品を使っているユーザーを指すそう

です。


その活用の例として、自動車メーカーのス

ズキが製造している、ハスラーの開発につ

いて紹介されていました。


具体的には、車内に荷物を整理するための

棚を作るために、壁にねじの穴を開けてい

るエクストリームユーザーがいて、そのよ

うなユーザーの意見を取り入れて、スズキ

は、ユーティリティナット(多目的用途の

ネジ穴)をハスラーに付け加えました。


このようにエクストリームユーザーの意見

をいくつか採り入れることで、ハスラー

より魅力的な製品となったそうです。


ここでポイントとなるのは、単にユーザー

の意見を取り入れるのではなく、かつては

例外的と考えられていた極端な使い方をす

するユーザーの意見を採り入れることが、

魅力的な製品の要素となったということで

す。


ここからは、私の分析ですが、自動車は製

造する側からは、まだまだ乗り物を作って

いるという意識が強く、そこから踏み出し

た考え方での製品開発は難しいということ

なのでしょう。


しかし、エクストリームユーザーは、もの

あまり時代において、製品の魅力を高める

ためのヒントとなる使い方をしているとい

うことに、供給側が気づいてきたというこ

とだと思います。


それは、かつては、例外的であり、一般の

ユーザーにとっては参考にならないもので

あったと考えられていたものが、いまは、

一般的なユーザーに魅力的な使い方を示す

ものとなっているということです。


これは、製品の価値が、いわゆる「もの」

から「こと」に軸足が移っているというこ

との現れだと思います。


この例を聴いたとき、私の知人のコンサル

タントのことを思い出しました。


その方は、ちらしの作成に筆ペンを使うよ

う顧問先に指導されています。


彼はブログなどでも、筆ペンを使ったちら

しの例を頻繁に載せており、それを見た筆

ペンメーカーから、なぜ自社の製品を使っ

ているのか取材されたそうです。


メーカーから見れば、ちらしが筆ペンの用

途の想定外であり、あらたな需要のたねに

なると考えたのではないでしょうか?


また、マスキングテープを製造している、

岡山県倉敷市カモ井加工紙が、マスキン

グテープの装飾用としての用途を広めたの

も、マスキングテープのガイドブックを作

るために工場を見学させて欲しいという、

女性のユーザーからの依頼があったことが

きっかけだったそうです。


(ご参考→ https://goo.gl/VhTLDo


このような事例から見ると、製品の用途は

製造する側では規定できない状況になって

きているということだと思います。


そうであれば、ユーザーの意見を広く集め

る機会を増やすことが、魅力的な製品を作

る近道になるのではないかということが、

今回の結論です。

 

 

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