鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

お歳暮は余らせてはいけない?

いまはこのような慣習はなくなっていると

思うのですが、私が、銀行の渉外係を担当

しているころは、その銀行では、大口の取

引先にお歳暮を贈っていました。


お歳暮は、前もって前回の配布リストをも

とに、新たに贈ることにする取引先を追加

したり、贈ることを取りやめる取引先を削

除したりします。


また、お歳暮の品も、A・B・Cの3つの

ランクがあり、取引額から勘案して、その

お歳暮のランク分けも適切かどうかという

ことも確認し、必要があればランクを変更

します。


このリストの修正が終わったあと、3種類

のお歳暮を、それぞれ必要な数だけ発注し

ます。


そして、発注したお歳暮が届いたら、遅く

ならないよう気をつけながら12月の上旬

までを目標に、各担当者が取引先にお歳暮

を届けます。


ここまで書いてきたことは、単に、ありふ

れたお歳暮の配布の仕方を書いていて、読

者の方は、私がいったい何を伝えたいのか

という疑問をお持ちになるでしょう。


実は、このような単純に思えることも、き

ちんと配布することはなかなかできないで

いました。


というのは、事前の贈り先のリストの確認

の段階で加除に漏れがあったり、お歳暮の

品の発注後に、新たにお歳暮を贈らなけれ

ばならない取引先が出てきたり、また、お

歳暮を届けるときに誤って贈る相手ではな

い取引先に届けたり、贈る相手ではあって

も予定したものとは異なるランクのお歳暮

を届けたりするという間違いが、毎回起き

てしまいます。


そこで、このお歳暮配りは、すべてが配り

終わるまで、結構気を遣っていました。


それは、支店の幹部も分かっていて、ある

とき、支店長と私が店内を歩いているとき

に、「お歳暮はもうだいたい配り終わった

か、様子を見に行こう」と言われ、一緒に

お歳暮を保管してある倉庫室に行ったこと

があります。


そうすると、倉庫室の端の方に、届け先が

書かれていないお歳暮が2つほど置かれて

おり、それは結果として余計に発注された

お歳暮であったことが分かりました。


これを見た支店長は、「来年のお歳暮を発

注するときは、数に間違いのないようにし

なさい」という指示を私に出しました。


支店長の意図は、決められたことは決めら

れた通りにやることが望ましいという方針

なのでしょう。


ところが、翌日、副支店長からお歳暮の状

況について確認したいとの申し出があり、

私は副支店長と一緒にお歳暮を保管してあ

る倉庫室に向かいました。


そして、お歳暮の状況は、前日に支店長と

来たときと同じように、2つ余っている状

況でしたが、副支店長は、「2くらい余る

のがちょうどいい」と満足していました。


副支店長の意図は、常に不測の事態に備え

て、ある程度は余裕を持たせることが望ま

しいという意図なのでしょう。


ここで、この記事のストーリーは終わりで

すが、では、結論はどのようなものになる

でしょうか?


それはいくつも考えることができるのです

が、私は、「管理者は細かいことに口を出

すな」ということを挙げたいと思います。


支店長も副支店長もどちらの言っているこ

とも正しいのですが、それを聞かされた側

は、何を得るのでしょうか?


結局のところ、言った側に合わせて返事を

するだけで、何も得るものはありません。


強いて言えば、「また言いたいことを聞か

された」というストレスを感じるだけで

しょう。


そうだったら、どちらも細かいことを言わ

ずに、お歳暮が滞りなく配り終わったかど

うかということのみを確認すれば足りるで

しょう。


なぜ管理者が細かいことに口を出してしま

うのかというと、結果がどうなっているか

ということよりも、自分が管理者としての

仕事をしているかどうかということが気に

なり、目についたことについつい口を出し

てしまうのだと思います。


それは、管理者でありながら、組織のリー

ダーとしての行動ではなく、自分の立場を

優先した行動です。


とはいっても、このようなことは無意識に

やってしまうものなのでしょう。


でも、管理者こそ深いところまで注意をし

て、部下の模範となる行動を示したいもの

です。

 

 

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