鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

コンティンジェンシー理論

今回はコンティンジェンシー理論について

説明します。


コンティンジェンシー(Contingency)とは

「不測の事態」という意味で、このコン

ティンジェンシー理論とは、会社などの組

織の外部環境が変化して不測の事態に陥っ

たときにどのように対応すべきかという理

論です。


そこで、条件適合理論と呼ばれることもあ

ります。


これに関する研究は盛んに行われてきてお

り、ここでは3つの研究を示します。


ひとつめは、英国のバーンズとストーカー

の研究で、英国の20社の会社を研究した

結果、会社には機械的組織と有機的組織が

あるという結果を述べています。


これは言葉からも分かる通り、機械的組織

は、役割分担が専門的で職務権限が明確に

なっている一方で、有機的組織は、役割分

担が臨機応変で職務権限は弾力的な組織で

す。


したがって、機械的組織は安定的な環境に

向いていますが、有機的組織は不安定な環

境に向いています。


次に、英国の経営学者のウッドワードは、

単純な技術を利用する単品生産と、複雑な

技術を利用する装置生産(化学プラントや

発電所など)は有機的組織が向いている一

方で、中間的な技術を利用する大量生産

(自動車製造業など)は機械的組織が向い

ているという分析をしています。


これは、業績のよい会社の特徴を分析した

結果であり、単品生産と装置生産の会社で

は役割分担を明確にせずに権限委譲をして

いる会社の業績がよく、大量生産をしてい

る会社では、役割を細分化し命令系統を明

確にしている会社の業績がよいというもの

です。


最後に、米国のローレンスとローシュの研

究について説明します。


彼らによれば、不確実性高い環境で業績を

あげている会社は、部門が細かく分かれて

おり、かつ、部門間で生じる利害を調整す

る機能も持っているというものです。


すなわち、社内での利害調整がじょうずな

会社は業績がよいということがいえるとい

うことでしょう。


今回の記事の結論は、現在の日本では、不

確実性が高い経営環境にあり、そのような

中で上手な事業を行うには、社内での権限

委譲と利害調整が大切になってきていると

いうことです。


このような組織が望まれるということは、

経営者に対して経営者としての能力がます

ます問われているということであり、事業

の勝負とは経営者の能力の勝負ということ

でもあると言えると私は考えています。

 

 

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