作家の安田佳生さんが、ご自身の制作して
の住職の質問に回答していました。
(ご参考→ https://goo.gl/5MVydC )
すなわち、寺院を訪れる人が少ないが、仏
教の教えを広めたいので、訪れる人を増や
すにはどうしたらよいかという質問に対し
て、訪問しない人がなぜ訪問しないのかを
調査して訪問してもらうにはどうすればよ
いかを考えるのではなく、少数ながらも、
現在訪問している人がなぜ訪問しているの
かという理由を究明し、同様のニーズを
持っている人にアプローチすべきという回
答をしておられました。
安田さんはこのことばを使いませんでした
が、安田さんの回答は、プロダクトアウト
よりもマーケットインの考え方でアプロー
チすることを提案していると私は考えてい
ます。
プロダクトアウトとマーケットインについ
ては、ここで説明するまでもないくらい知
られていることばですが、念のためにおお
まかな説明をすると、プロダクトアウトは
自社製品を開発してからそれを市場に投入
していくという考え方で、マーケットイン
とは、市場のニーズを調査してからそれに
応じた製品を開発するという考え方です。
安田さんは、住職の方に対しては、マー
ケットインの考え方でアプローチを薦めて
おられましたが、どちらかが優れていて、
どちらかが劣っているというわけではない
ので、それぞれの状況に応じて適切な方法
を選ぶべきものと私は考えています。
寺院については、宗教的なサービスだけで
は需要に限界があるので、あらたな需要に
応じる方が得策であり、そこで、安田さん
は、マーケットインによるアプローチをお
薦めしたのではないかと思います。
これは、安田さんはお話ししていないこと
ですが、最近は、寺院に宿泊したいと考え
ている人が多いようで、寺院で民泊に応じ
るというアプローチがあるのではないかと
思います。
一方、プロダクトアウトの例としては、こ
れもたくさんありますが、私が思い浮かぶ
ものは、スターバックスコーヒーや、ブ
ルーボトルコーヒーです。
いずれも、喫茶店、コーヒースタンドとい
う従来からあった業種ではあるものの、顧
客から見れば、新しいコーヒーの飲み方を
提供している店です。
ただ、現在は、プロダクトアウトによる顧
客獲得は、商品に極めて優れた特徴がなけ
れば、マーケティングに大きな費用がかか
るので、経営資源の大きな会社でなければ
採ることができないと私は考えています。
ここで今回の結論に入りますが、経営資源
の小さな会社では、マーケットインの手法
を採ることが望ましいということです。
ある程度の需要があることが前もって明確
であれば別ですが、そうでなければ、しっ
かりと需要を調査することが大切です。