鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

最初のアイディアに恋しない

経営コンサルタントの間でよく話に出るの

ですが、「最初のアイディアに恋をしては

いけない」という格言があります。


例えば、米国の経営コンサルタントのバー

ネットらの著書の「LIFE DESIG

N」( http://amzn.to/2AXsphv )の中に

は、次のように書かれています。


「ふつう、わたしたちの脳は怠けものなの

で、なるべく早く問題を取り除きたいと考

える。


そのため、最初のアイディアを媚薬漬けに

して、私たちを“恋”に落とそうとする。


しかし、最初のアイディアに恋をしてはい

けない。


この恋愛関係は、まず、うまくいかないか

らだ。


たいていの場合、最初の答えは平凡で、あ

まりクリエイティブではない。


人間はまず当たり前のことを指摘する傾向

がある」


私も多くの創業者の方のお手伝いをしてき

ましたが、根拠が分からないものの、どう

いうわけか、自ら始めようとしている事業

に絶対的な自信を持っている人が多くを占

めていました。


すなわち、そのような人たちは「最初のア

イディアに恋をしている」人たちと言える

でしょう。


一方で、そのような人たちは、なぜ、恋に

落ちてしまうのか、ずっと不思議だったの

ですが、LIFE DESIGNを読んで

「そうだったのか!」と、胸のつかえが取

れたような気分になりました。


とはいえ、私を含め、人は自分自身のこと

を最も理解できない傾向があるので、最初

のアイディアに恋に落ちてしまうことを避

けることよりも、外部専門家、税理士、銀

行など、他者の意見に耳を貸すという謙虚

さが重要だと思います。


ちなみに、LIFE DESIGNには、

最初のアイディアに恋に落ちない方法につ

いては書かれていませんでしたが、最初の

アイディアに恋に落ちても失敗しない方法

については述べられていました。


そのひとつは、マインドマップやブレイン

ストーミングを使って、創造的なアイディ

アを見つけ出すというものです。


これは、至極当りまえのことであり、真新

しいものでもありません。


すなわち、経営者の方は、冷静に自らのア

イディアを客観視できるようにする能力が

求められるということでしょう。


ところで、今回の記事の結論は、最初のア

イディアに恋しないように気をつけましょ

うということよりも、しっかりとした準備

をしましょうということです。


というのは、私にご相談をしてくる創業者

の方の多くは、前述のように、最初のアイ

ディアに恋しているということもあるので

すが、さらに問題だと思うことは、1か月

以内に開業しなければならないという前提

であったり、すでに創業してしまっている

という方が、その多くを占めています。


そのような方を、仮に、恋から覚めさせる

ことができたとしても、すでに後戻りでき

ない状態であるということです。


いまは、起業することは容易になってきて

いますが、事業を成功させることは難しく

なってきています。


最初のアイディアに恋をしてしまうと、起

業することと事業が成功することが同じで

あると理解してしまうので、起業をする時

は、ある程度の時間をかけて、専門家の助

言を得ることをしなければ、失敗してしま

う可能性が高くなってしまいます。

 

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