鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

事業計画を作る理由

今回は、あまりにも当たり前なテーマにつ

いて述べたいと思います。


会社はなぜ事業計画を作らなければならな

いのでしょうか?


とはいえ、その答えはひとつとは限らず、

かつ、そのいずれも正しいと考えていま

す。


そこで、私の考える事業計画を作る理由の

主なものを2つ挙げます。


ひとつは、経営者の方の考える事業方針を

具体的にすることです。


経営者の方は、自社の事業をこのように進

めていきたいという考えを持っている訳で

すが、それは、方向や、あり方、姿勢、意

義などの漠然としたものです。


それらを目指した結果、または、途中経過

を具体的に示すものが事業計画です。


ちなみに、事業方針(会社によっては、理

念、ビジョン、ミッションなどとも言われ

ることがあります)を、どのような道筋や

手段を使って進んでいくかを示すものが、

経営戦略や戦術です。


そして、事業計画は、方法や手段の結果を

数値などで示したものといえます。


では、なぜ、事業の目指す方向やその手段

を示すだけではなく、その結果としての事

業計画を示す必要があるのでしょうか?


それは、端的に述べれば、会社はお金の論

理で動いているからです。


商品の仕入、商品の販売、給与の支払など

の、ステークホルダーとのやり取りは現金

がともないます。


特に、銀行からの借入や、株主からの出資

を受けるには、利益がいくらかということ

が大きな要因になっています。


したがって、方針や道筋だけでは、お金を

ともなうやり取りの判断は難しく、たとえ

計画であったとしても、事業がどうなるの

かということは、数値で示さなければなり

ません。


ここまで書いたことは、多くの方に理解し

ていただけると思いますが、少数ながらも

事業計画(少なくとも明文化したもの)を

作らずに、銀行に融資の申込をしようとす

る方もいますので、改めて述べた次第で

す。


事業計画を作らなければならないもうひと

つの理由は、事業管理ができないからで

す。


事業計画に基づいた事業管理は、意外と実

践している会社は少ないようです。


もしくは、事業計画を作っても、作りっぱ

なしという会社もあります。


むしろ、そのような作りっぱなしの会社の

方が、「事業計画は銀行から要請されたの

で仕方なく作っている」という事情のよう

です。


事業管理も幅広いものなので、限定的に説

明すると、計画が達成していない場合の要

因を分析して改善をすることです。


これは、バランス・スコア・カード(BS

C)を活用すると管理が容易になるのです

が、必ずしもBSCを採り入れる必要はあ

りません。


別の言い方をすれば、自社の事業を改善し

ようとするとき、事業計画がある場合と、

事業計画がない場合では、どちらが改善し

やすいかということを考えれば、事業計画

がある方が改善しやすいということは明ら

かでしょう。


なぜなら、事業計画がある方が、改善すべ

きところが明確になるからです。


そして、その事業計画も、例えば、売上を

5,000万円を得る計画であった場合、

どの商品を、いくらの価格で、どの地域

で、どのような人に対して販売することに

よって得るのかということを決めてあった

場合、単に売上が計画に達しなかったとい

うだけでなく、どういう要因で達成しな

かったか、どう改善すればよいのかという

ことなどが、より明確になります。


以上が、事業計画が必要になると私が考え

る主な理由です。


そして、さらに大切なことは、このような

事業の改善をする活動こそが、経営者の重

要な役割です。


もし、単に、成行で事業に臨んでいる経営

者がいるとすれば、その経営者は、経営者

としての役割を担っていないことになりま

す。


さらに、事業計画がない会社があるとすれ

ば、実態は家族経営の会社であってあらた

めて事業計画のようなものは不要だという

会社を除き、その会社は組織だった事業運

営もできないということになります。

 

 

 

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