鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

多能工

多能工とは、これも私が説明するまでもあ

ありませんが、ひとりの人が、複数の工程

を担当できたり、複数の技能を身にたりす

ることです。


複数のことができる人がたくさんいれば、

事業の現場でも臨機応変な対応ができるこ

とから、多能工を進めようとする会社はた

くさんあります。


例えば、多能工を推進して事業に成功して

いる会社である三州製菓では、「従業員の

約8割が女性のため、製造ラインでそれぞ

れが『多能工』となり一人三役以上の仕事

を覚える『一人三役』制度を推進してお

り、誰かが代わってくれる安心感と、代わ

りに次は自分が手伝いたいといった好循環

が生まれ、育児休業等を取得しやすい職場

環境が醸成された」という成果がみられま

す。


(ご参考→ https://goo.gl/8FsHWN


ところが、多能工の推進は、なかなか思う

ようには行きません。


その理由として、次のような要因が考えら

れます。


(1)どのようなことができれば、ひとつ

の工程を習得したかという基準が必要であ

り、そのためには、マニュアルを作成した

り、習得基準を明確にしたりしなければな

らない。


(2)複数の工程を習得してもらうための

多能工育成計画の作成や、ジョブローテー

ションの実施が必要になる。


(3)多能工を習得した従業員に報いるた

めの、昇給、昇格、処遇などを決めなけれ

ばならない。


長期間で見れば、多能工を育成することは

よいことなのですが、このような目の前の

課題を考えると、踏み切れないという方も

多いのではないでしょうか?


しかし、このような体制整備は、事業から

離れたものではなく、事業現場の改善の延

長にあるものと考えれば、体制整備に着手

するための背中の後押しになるのではない

でしょうか?


前述の三州製菓でも、多能工は、会社に

とっても好都合だけでなく、働いている側

にも、モラールアップにつながる、一石二

鳥の戦術です。


多能工を実現するには、それなりの難しさ

はありますが、それ以上の効果が期待でき

ます。


単に、「改善を積み重ねなさい」と掛け声

だけを書けるだけでよいのであれば、経営

者は誰にでも務めることができます。


事業現場から一歩離れた場所での視点で、

事業をよりよくするためには何をすればよ

いのかを考え、そしてそれを長期的な視点

に立って実践する役割が経営者に課せられ

ていると私は考えています。

 

 

 

 

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