今回の記事のタイトルを見ると、上から目
線の記事に思われてしまいますが、これは
自分への戒めでもあります。
ちなみに、これも私が説明するまでもあり
ませんが、王道にはふたつの意味があるよ
うです。
ひとつは、儒教の考え方で、徳で国を治め
ようとする理想的な政治のこと。
これは、武力で国を治めようとする覇道の
対語でもあります。
もうひとつの意味は、「学問に王道なし」
というように使われている意味であり、す
なわち、安易な方法、楽な方法のことで
す。
よって、今回の記事のタイトルの王道は、
楽な方法という意味です。
では、なぜこのようなことを書こうと思っ
たのかということを、以下に述べていきま
す。
私が、経営者の方から受ける相談の内容は
「●●をやろうとしてもなかなか時間がな
い」、「○○をやろうと考えているが、な
なかなか人手が足りない」というものが中
心です。
例として、その中のひとつを挙げると、こ
れまで私が何度も重要性を述べてきた、月
次試算表の作成があります。
これまで、ご支援をしている会社の経営者
の方に、私から、「月次試算表をつくりま
しょう」と提案しても、なかなか実践が難
しく、前述のような、「時間がない」と
いった回答をされてしまうことが多くあり
ました。
そこで、私は、月次試算表がなくても事業
改善ができる方法がないかと、ずっと考え
てきました。
しかし、結果として、それはみつかりませ
んでした。
そして、あるとき、別のコンサルタントの
方に、このことをきいてみたら、「月次決
算程度のことは、経営者自身にやってもら
うしかない。
それすらできなければ、これからやって来
るであろう、もっと難しい課題すら対処で
きないことになる」というものでした。
こんなことを感じるのは私だけかもしれま
せんが、この回答をきいて、私は目からう
ろこが落ちたような感じになりました。
月次決算は、避けるものではなく、乗り越
えなければならないものだということを、
改めて認識しました。
ですから、コンサルタントは、経営者が自
ら工夫して、経営者の本来の仕事を行える
ようにするための助力をするしかない訳で
す。
経営者がいつまでもそれをできないのであ
れば、コンサルタントが必要とされる場面
もないということです。
コンサルタントは、経営者に王道を用意す
ることが仕事ではなく、(上から目線で恐
縮ですが)いばらの道をきちんと歩くこと
ができるよう支えることだということなの
だと思いました。
経営者の仕事は難しいことですが、だから
こそ、だれにでも務められるものでもな
く、やりがいのある仕事なのだと思いま
す。