私は事業計画を作ることをお薦めしていま
すが、それに否定的な方も多いので、今回
は、事業計画がなぜ大切なのかということ
を説明します。
まず、事業計画の指すものですが、この記
事では、計数(売上、費用、利益、顧客数
など)の計画ということとします。
そして、この事業計画に否定的な方は、事
業計画の使い方を分からない、または、事
業計画を使う事業管理を実行したくないと
いうことだと思います。
例えば、事業計画に否定的な人は、「事業
計画を作っても、それが実現するとは限ら
ない」ということを否定的な理由として挙
げています。
このような理由を挙げる人は、将来の売上
などの予測をするために事業計画を作ると
考えているのでしょう。
一方、私は、事業活動を管理するために作
成するものと考えています。
事業活動は成り行きでよいと考える人は、
まずいないでしょうから、「事業計画を作
る」ことを「事業活動を管理する」ことと
置き換えれば、ほとんどの人が事業計画が
必要であると考えているということになる
でしょう。
それでも事業計画に否定的な方は、定期的
な事業活動の管理を面倒だと考えているか
らでしょう。
では、なぜ、事業活動の管理を面倒と考え
るかというと、事業計画を活用した事業活
動の管理方法が分からないということが、
その理由の大きな部分を占めていると思い
ます。
そのすべてを示すための文字数をこの記事
では確保できませんが、そのポイントのひ
とつを挙げると、長期的な目標と、今日、
今週、今月実施する活動を結びつけること
です。
例えば、5か年の長期計画を1年ごとに分
け、さらに、1年ごとの計画を12か月に
分ければ、長期計画を達成するために今月
実施する活動が明確になります。
これは数値的なことだけですが、「5年後
に●●億円の売上を達成する」と考えて活
動するよりも、「今月は●●万円の売上を
達成する」と考えて活動することの方が、
より具体的な行動をとりやすいし、目標に
向かって順調に進んでいるかどうかという
こともわかりやすくなるでしょう。
また、数値以外のことでも、今月の売上を
達成するには、どれだけの日数(時間)が
必要か、どれくらいの従業員数が必要か、
どれくらいの販売促進活動が必要かという
ことなどが明確になります。
話しがそれますが、これらの数値をもう少
し有機的に紐づけしたものが、KPI
(Key Performance Indicator , 重要目標
達成指標)であり、これを設定するための
BSCを作成することで、より高度な管理
ができるようになります。
話しを戻して、このような事業活動の管理
が、経営者の重要な役割を占めています。
そして、このような管理活動を行えば、管
理を行っていない場合と比較して、業績は
着実に上向くことも容易に理解していただ
くことができるでしょう。
しかし、それでも事業計画を作成していな
い、または、頭の中に「これくらいの売上
になればいいなぁ」という願望を持ってい
るだけで、具体的な活動に結びつけていな
いという方も、現実的には少なくありませ
ん。
残念ながら、そのような経営者の方は、肩
書は社長などであっても、経営者としての
役割を担おうとしているようには、私には
感じることができません。