鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

答えを探す活動

本日配信した、私が制作しているポッド

キャスト番組にゲスト出演された、中小企

業診断士の山岡先生が、次のようなことを

お話しされていました。


すなわち、「飲食店経営者は、すでに飲食

店を成功させている著名な経営者のセミ

ナーなどを聴きたいと思う人が多い。


そして、その経営者がやってきたことを真

似て、自分の店でもやってみようとする。


しかし、それは必ずしも成功するとは限ら

ない」ということです。


この、よく著名な飲食店経営者がお話しす

る成功要因の例は、開店前に大きな声で朝

礼をするといったことや、素手でトイレ掃

除をするといったことなどです。


これらが必ずしも成功につながらない原因

としては、(1)ある飲食店で成功したこ

とが、ほかの店でもあてはまるとは限らな

い、(2)成功要因の表面的なことだけに

とらわれて、なぜそのようなことをやるの

かといった本当の狙いを理解せずに実施し

てしまうということを山岡先生は挙げてお

られました。


一方で、山岡先生は、コンサルタントが提

供するノウハウは、一般化して再現性のあ

るものであること、個々のお店の状況に合

わせてアレンジして導入を提案してもらえ

ることから、著名な経営者の話を聴くだけ

でなく、コンサルタントの助力も得ること

をお薦めしたいと、お話しされておられま

した。


これを受けて、ここから私の考えを述べた

いと思います。


飲食店経営者の方が著名な経営者の方のお

話しを聴きたいと思う要因は、山岡先生が

挙げられたほかに、お店を繁盛させる手法

をすぐに知りたいという考えがあるからだ

と思います。


これに対して、「お店を早く繁盛するよう

にしようと思うのは当りまえだ」と思う方

も多いと思います。


それはその通りなのですが、ここで指摘し

たいことは、「早く繁盛店にする」という

名目で、いくつかの手順を飛ばそうとして

いる可能性があるということです。


例えば、開店前に大声で朝礼を行うという

ことは、従業員の方の一体感を高めたり、

士気を高めたりすることにつながりますが

その一方で、就業規則や職務権限規程など

の規定類の整備が行われていなかったり、

ジョブディスクリプションや人事考課が行

われていなければ、従業員の方の頑張りに

報いることはできません。


これらはひとつの例ですが、ほかのお店で

やっていることを、自分のお店にそのまま

採り入れただけでは、お店はよくなるほど

単純ではないということです。


これは私の考えですが、事業の改善は、答

えを見つけてから実践することではなく、

答えを探す活動そのものだと思います。


そして、その答えは、どのお店にも共通し

ているとは限らない、すなわち、他のお店

にとって正解のものが、自分お店では正解

とは限らないため、自分で自分自身の答え

を探さなければなりません。


著名な経営者のお話しを聴くことは決して

無駄ではありませんが、そこで聴いたお話

しには、必ずしも答えが含まれているわけ

ではないと考えるべきと、私は考えていま

す。

 

 

 

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