鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

キッチン上がりとホール上がり

本日配信した、私が制作しているポッド

キャスト番組にゲスト出演された、中小企

業診断士の山岡雄己先生が、飲食店を開業

したかたの経歴と成功するかどうかの関係

について、番組の中でお話しされておられ

ました。


(ご参考→ https://goo.gl/SbBPBw


すなわち、キッチン上がり(主に調理を担

当していた人)よりも、ホール上がり(主

に接客をしていた人)の人の方が、独立し

て飲食店を開業したときに成功する確率が

高いそうです。


この理由を簡単に説明すると、キッチン上

がりの人は職人気質が多く、「おいしい料

理をつくれば店は繁盛する」と、安直に考

えてしまいがちになるということです。


一方で、ホール上がりの人は、接客、売上

管理、店の雰囲気づくり、従業員教育など

の店舗マネジメントのスキルを習得でき、

その結果、飲食店の運営にあたって全体的

な視点を持つことができるようになるから

だと、山岡先生は分析しておられるようで

す。


ただし、これは、山岡先生がこれまでに見

てきた人たちの状況を述べているのであっ

て、望ましい飲食店経営者は、料理担当と

してのこだわりと、接客担当としてのおも

てなしの気持ちの両方を持つことだという

こともお話しされておられます。


話しをもどして、マネジメントスキルを

持っている人の方が、事業を始めた時に成

功する確率が高いということは多くの方が

理解されていると思います。


そして、さはさりながら、「おいしい料理

をつくれば店は繁盛する」というような、

短絡的な考えで起業してしまう人は、依然

として多いと感じています。


とはいえ、ここで、「経営者になるからに

は、事業全体を見る目が必要だ」というこ

とを改めて述べるつもりはありません。


そういうことが広く知られていながら、な

ぜ、「おいしい料理をつくれば店は繁盛す

る」と思ってしまう人がいるのかというこ

とを考えてみました。


これも竹を割ったような回答ではありませ

んが、それは、事業は付加価値を産む活動

ということを理解されていないからではな

いかと思っています。


ここで抽象的な表現をしてしまったので、

少し具体的に述べれば、売れるものを作ら

なければ、事業は成り立たないということ

です。


これは「事業の目的は顧客の創造である」

( There is only one valid definition

of business purpose : to create a

customer . )とドラッカーが述べている

ことでも有名です。


すなわち、「美味しい料理をつくる≠顧客

が食べたい(買いたい)ものとつくる」と

いうことではなく、「顧客が食べたいもの

をつくる=付加価値を産む=顧客の創造」

ということです。


一方で、前述のような「美味しい料理をつ

くれば、店は繁盛する」と考える職人気質

の方は、一見、「美味しい料理をつくる」

という正しいと思える活動で事業の目的が

達成されると考えてしまっているのだと思

います。


確かに、おいしい料理をつくることは、顧

客を満足させる要因のひとつですが、それ

だけが顧客を満足させるわけではありませ

ん。


別の言い方をすれば、「美味しい料理をつ

くれば店は繁盛する」と考えている人は、

それ以外のことは不要だと考えたり、実際

には、顧客のために美味しい料理をつくる

といいつつ、実際には、自分の満足だけを

求めているだけではないのかと、私は分析

しています。


結論は、事業は顧客の創造、すなわち、顧

客が満足するかどうかが問われているので

すが、それは多くの方に理解されているよ

うで、実際には経営者の思い込みになって

しまっている場合も多いということです。

 

 

 

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