タイトルは「コンサルティングの上手な活
用法」なのですが、活用法というよりも、
コンサルタントとどのように関わっている
会社が業績をあげているのかということを
述べたいと思います。
ひとつめは、事前に相談がある会社です。
言い換えれば、何か困ったことが起きてか
らコンサルタントなどに相談する会社は、
あまり賢明とは言えません。
これも、多くの方がご理解いただけると思
うのですが、何か困ったことが起きても、
自分で何とかなると考える経営者の方が多
く、もう自力では何ともならないという時
になってコンサルタントに相談してくると
いうことは少なくありません。
そして、課題の期限が差し迫っているほど
選択肢は少なく、打ち手もあまりないとい
う状態では、コンサルタントが相談を受け
てもどうにもならないか、仮に解決すると
しても、多額の費用がかかってしまうとい
うことになります。
このように、ぎりぎりになって相談する場
合、労力が大きくなるという面でお薦めで
きないということもありますが、そのこと
だけでなく、会社自体に課題を先送りする
という風土があることが、そもそも改善し
なければならないということも言えます。
一方、業績のよい会社は、業績がよいだけ
ではなく、さらに効率をあげる余地はない
かという観点で相談してきます。
ですから、業績が悪くコンサルタントにも
相談をしないという会社と比較すると、業
績に幾何級数的に差が広がってしまうとい
うことになってしまいます。
ふたつめは、自らは変わろうとしない会社
です。
表向きは改善したいと言っていても、行動
がともなっていない会社も、これに含まれ
ます。
会社を野球チームに例えれば、コンサルタ
ントは外部から招かれたコーチのような役
割を担います。
ですから、コーチが自らマウンドに上がっ
たり、バッターボックスに立つことはしま
せん。
このことは当りまえのように思えるのです
が、コンサルタントへの相談と言いつつ、
自社に代わってこのようなことをして欲し
い、自社の状況はただでさえ忙しいのだか
ら、これ以上仕事を増やすつもりはないと
考えている経営者の方は意外と多くいます。
これは発想が逆で、忙しいから自社が変わ
らなければならないはずです。
それに、コンサルタントに代わりに仕事を
させるのであれば、それは単に新たな従業
員を雇うことと変わりはありません。
ただ、最近は「コンサルタント」と名乗る
人の中にも「コンサルティング」をせずに
仕事の一部を引き受けるだけの方も多いの
で、コンサルタントとはそのようなものだ
と考えている経営者の方も多いのでしょう。
会社の定型業務や、高い専門性を必要とす
る業務については外注することは問題はな
いと思いますが、単に、面倒だから「コン
サルタント」に任せるという姿勢では、結
局、自社の能力は向上せず、業績もよくな
ることにはなりません。
そして、これについても、自社の能力を向
上させようという姿勢そのものが欠けてい
ることが問題なのだと思います。
一方、業績のよい会社は、早くコンサルタ
ントからの学びを吸収し、コンサルティン
グを受けなくてすむようにしようとします。
(ただ、このような会社は、ステップが上
がると、そこで次の課題を見つけ出し、再
びコンサルタントに相談をするということ
を繰り返し、進歩の好循環に入ります)
以上、ふたつの例を述べましたが、ここで
「困っている会社こそ、コンサルタントが
助けなければならないのでは?」と疑問を
持つ方もいると思います。
もちろん、コンサルタントは困っている会
社を助けることが役割なのですが、コンサ
ルタントの支援を活かすことができるかど
うかの最終的な要因は、その会社自身にあ
ります。
もし、コンサルタントが支援する会社の業
績向上に責任があるとすれば、コンサルタ
ではなく、その会社の経営者になってしま
います。
これを言い換えれば、コンサルティングを
受けても業績が向上しない会社の責任は、
コンサルタントではなくその会社の経営者
にあります。
もちろん、コンサルティングを受けて業績
が向上すれば、その手柄はコンサルタント
のものではなく、経営者のものです。
繰り返しになりますが、会社の業績を向上
させるには、最終的に経営者自らが能力を
高め、行動しなければなりません。
コンサルタントは、その経営者を支える役
割に過ぎません。