鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

甘えの構造

筑波大学教授で産業医の松崎一葉さんの

著書、「クラッシャー上司-平気で部下を

追い詰める人たち」を読みました。

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「クラッシャー上司」とは、部下を精神

的につぶしながら出世いく人を指して

いるそうです。


本書は、クラッシャー上司の現状、

クラッシャー上司が生まれる構造、

クラッシャー上司への対策が主要な

テーマですが、私が注目したことは、

「甘えの構造」です。


すなわち、クラッシャー上司のような

人が現れる原因のひとつは、社外には

礼儀正しいものの、社内に対しては、

「黙って空気を読め」「会社のために

働いている人の苦労を配慮しろ」と

いう同調圧力を働かせる、すなわち、

部下に過重労働を強いることを「愛の

鞭」と誤解している「甘えの構造」が

あるということです。


言い換えれば、業績をあげるためという

大義名分を掲げて、部下が犠牲になる

ことを正当化するという考え方があると

いうことです。


これについては、多くの方によくないこと

であると理解されるものの、現実の社会

では残念ながら珍しくないようです。


いわゆるブラック企業が問題化している

ことがその例です。


そういう私も、このような考え方をして

いた記憶があります。


私はサラリーマン時代は仕事を最優先して

おり、そのことが家族に負担を強いていた

にもかかわらず、仕事を優先することは、

家族のためにもなると考えていました。


一見、「会社のため」「業績をあげる

ため」という理由をつければ、多少の

犠牲もやむを得ないと考える方は、

これまでたくさんいたと思います。


これは、本当は、真の課題を先送りする

ための詭弁になっていると私は考えて

います。


別の言い方をすれば、本来は、従業員が

仕事に満足できなければ、業績も向上

しないのに、従業員の犠牲によって

会社の業績は向上すると考えることで、

経営者は職場環境を改善しなければ

ならないという責任から逃れようと

しているということです。


さらには、今後、人手不足の状況は

ますます深刻化していくことでしょう。


会社が従業員を選ぶ時代ではなく、

従業員が会社を選ぶ時代になっている

ということです。


かつての就職難の時代は、経営者が

「オレのやり方が気に入らないなら、

代わりはいくらでもいる」というような

態度をとることも通用してきましたが、

これからは、よい従業員に自社で働いて

もらうには、よい職場環境を提供しな

ければなりません。


そして、それが会社の業績にも直結

します。


結論は、組織運営、職場環境改善という

経営者の本来の役割がますます重要に

なってきているということです。

 

 

 

 

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