今回は、中小企業白書に記載されて
いた、中小企業政策に関する内容に
ついてご紹介します。
まず、中小企業白書の一部を抜粋
した文書をご紹介します。
「中小企業従事者についても、実質
的な所得水準、生活水準が向上して
おり、中小企業と大企業の格差は
依然として存在するものの、格差の
実態の意味を変容させている。
すなわち、細分化された専門分野
(いわゆるニッチ分野)での高い
技術力を背景に、国際市場の一定
割合を占有する等、極めて高い
競争力を有する中小企業(いわゆる
オンリーワン企業)や大企業への
企画提案型企業に加え、自らの
知識、ノウハウ等を的確に活用
しつつ新たな事業を開始する中小
企業など、我が国の経済構造に
変化を促す活力ある中小企業、
新規企業が出現するようになって
おり、このような中小企業が将来の
我が国経済活性化の新たな推進役に
なっていくものと期待される。
このため、平均値のみを比較し、
大企業に比して弱い存在として
中小企業を一律にとらえることは
適切ではなくなってきている。
以上のように、中小企業基本法が
制定された時の、中小企業の企業
数の過多性、企業規模の過小性と
いう画一的な中小企業像を前提と
した大企業と中小企業との間の
『格差是正』という政策理念と
これに基づく政策体系は、もはや
現実に適合しなくなっている。
なお、『行政改革委員会最終意見』
では、『中小企業=弱者として
講ずる一律・硬直的な保護策は、
効率性を阻害し、能力ある中小
企業、意欲ある創業期の中小企業の
成長機会を奪い、中小企業全体の
活力を喪失させる』との指摘が
なされている」
ここに書かれている内容は、多くの
方に納得していただけるものだと
思います。
要は、規模が小さくても大企業と
対等の活動ができる中小企業が
多く現れており、そのような状況に
応じた中小企業施策に転換する
という内容です。
そして、最後の『中小企業=弱者と
して講ずる一律・硬直的な保護策は、
効率性を阻害し(中略)中小企業
全体の活力を喪失させる』という
部分は衝撃の大きい文書であると
思います。
言い換えれば、実力のない中小
起業は保護しないということです。
ですから、これからは、中小企業と
いえども、弱者ではないものとして
扱われる訳ですので、きちんとした
能力を求められるということです。
きょうの結論としては、これなの
ですが、ここでもうひとつお伝え
したいことがあります。
引用した中小企業白書は、
平成12年版だということです。
したがって、中小企業施策の変更は
平成11年のことです。
現在は、それから約18年が経って
いるということです。
政府は『中小企業=弱者でない』と
いうスタンスになったということは
あまり感じないかもしれませんが、
徐々にそれが現れているとも私は
思っています。
その具体的な内容は別の機会に
お伝えしたいと思いますが、単に
「中小企業だから事業がうまく
いかなくても仕方ない。だから
政府はもっと支援すべきだ」と
いう考えは、これからはとる
べきではないと私は考えています。