最近、自社の融資取引の条件となって
いる、経営者の保証を解除するには
どうすればよいかという相談を受ける
ことがあります。
まず、どのような会社は経営者の
保証なしに融資をしてもらえるのか
公表している、経営者保証に関する
ガイドラインに示されています。
(ご参考→ https://goo.gl/2HjSWS )
そのポイントは次の通りです。
(1)会社と経営者の資産が区別
されている。
(2)会社の業績が良好である。
(3)会社の財務状況について、
適宜、情報開示が行われいる。
少し本旨から外れますが、よく、
報道機関は、銀行は経営者の資産に
頼って融資をしているというような
報道をしていますが、それは誤解で
あると私は考えています。
むしろ、経営者との保証契約を
結んだり、万一、会社が借入の返済を
滞ったときに、保証人に返済を求め
たりするという手間が増えてしまう
ので、経営者保証がいらないような
会社に融資をする方が楽であると
考えていると思います。
そうはいっても、前述のような条件を
満たさない会社が多いことから、
経営者の保証を求めざるを得ない
ようです。
ただ、それも、経営者の財産をあてに
しているということでもありません。
そもそも、経営者に潤沢な財産が
あれば、会社は銀行から融資は
受けません。
経営者の財産を会社につぎこんでも
それでも資金が不足するから、
銀行から融資を受けていると考える
ことが自然でしょう。
では、なぜ銀行が経営者に保証人に
なってもらっているかというと、
中小企業は、会社と経営者は、
実態としては同一人物であると
銀行は捉えているからです。
例えば、事業のための運転資金と
して受けた融資金を、経営者が
個人的に使ってしまい、その後、
会社が倒産したときに、経営者が
保証人になっていなければ、銀行は
経営者に対してお金を返すことを
求めることができなくなります。
これは極端な例ですが、銀行が
経営者に連帯保証を求める背景
には、公私混同や放漫な経営を
牽制することが主な目的になって
います。
話しを戻して、前述の3つの
を満たせば、経営者
保証を外してもらえる可能性は
高くなります。
しかし、実際には、一朝一夕に解除
してもらえる例は少ないようです。
その理由のひとつは、3つの目安は
明確な基準が示されていないこと
です。
業況がよい会社、資産の区分、情報
開示の程度は、銀行の主観によって
判断されるため、融資を受けている
側が目安を満たされていると考えて
いても、必ずしも銀行側が保証を
解除してくれるとは限りません。
これは、融資を受けている側に
不利とは思いますが、前もって、
保証を解除して欲しいと考えて
いるが、どういう状態になれば、
保証を解除してもらえるのかと
いうことを伝えて、それを満たす
ようにしてから解除をしてもらう
という方法を踏むことになる
でしょう。
もうひとつの解除が難しい理由は、
銀行側は現状を変えたがらない
場合もあるようです。
これは論理的ではないので、説得
して解除してもらうしかないの
ですが、銀行職員としては、
融資条件を緩める(=保証を解除
する)ということを決断する
ことは、心理的に負担が大きい
こともあるようです。
これは、規模の小さい銀行ほど
その傾向があるようです。
仮に、前述の3つの目安を満たして
いるのにもかかわらず、それでも
明確な理由を示さずに解除に応じ
ようとしない銀行がある場合は、
ほかの銀行に借り換えをすると
いうことを示唆するなどして、
解除を交渉するとよいでしょう。
ここで、保証解除に関して注意して
いただきたいことを述べたいと思い
ます。
解除することについては、肯定的に
考えているものの、とはいえ、保証を
条件としないことによって、融資額が
減ってしまう可能性もあります。
ある程度事業が軌道に乗っている
会社であれば別ですが、これから
創業しようとする会社、創業して
間もない会社は、経営者保証を
条件としないことで、融資額が
減らされてしまうこともあります。
これはケースバイケースで判断する
ことになりますが、あまり、保証を
解除することにこだわり過ぎると、
かえってそれが資金調達の足かせに
なる可能性もあるということに
注意が必要です。
最後に、この記事の本旨とは直接
関係ないのですが、経営者保証が
条件とされない融資取引をしている
会社というのは、銀行から評価
されている会社であるということを
述べたいと思います。
当初の目的としては、経営者保証を
外すということですが、それは
銀行から評価されているという
証でもあるので、多くの経営者の
方には、経営者保証を外して
もらえるような会社を目指して
いただきたいと私は考えています。