鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

ルールを生かすためのルール

エビ加工会社の株式会社パプアニュー

ギニア海産という会社の工場長を

務める、武藤北斗さんの著書「生きる

職場」( http://amzn.to/2vadpdM )を

読みました。


パプアニューギニア海産は、出勤・

退勤時間は自由、嫌いな作業はやらな

くてよいという取り組みが注目を

浴びています。


「本当に、出勤・退勤時間は自由で、

嫌いな作業はやらなくてよいという

ことで、事業運営が成り立つのか」

という疑問は多くの方が持つと思い

ますが、それは、同書を読むことで

理解できると思います。


私が、この本をこの記事で取り上げ

たいと思った理由は、「ルールを

生かすためのルール」というところが

重要だと思ったからです。


具体的には、同社では有休を取る

ときには、連絡をしないという

ことをルールにしているそうです。


しかも、休んだ後から、休んだ日を

有休とすることも可能だという

ことです。


このようなことにしている背景と

しては、武藤さんは「有休をパート

タイマーにも与えている」などと

喧伝している経営者は、実際には

無言のプレッシャーで自由に有休を

取得できるようにはしていないと

考えているからだそうです。


本当に従業員に有休を与えたいので

あれば、それを妨げる要因を取り

除かなければなりません。


もし、表面的に制度を整えても、

それが実行力のともなうもので

なければ、画餅となってしまい、

意味はありません。


そうであれば、ルールがきちんと

実現するようにする必要がある

でしょう。


ですから、有休を取るときは、

連絡をしないということを

武藤さんはルールにしたようです。


このように書くと、やはり、

「確かにその通りかもしれないが、

世の中は、必ずしもそのような

建前が通用とは限らない」と

多くの方が感じることでしょう。


しかしながら、武藤さんは、この

ようなルールを実践していながら、

人を性善説でとらえている訳では

ないようです。


だからこそルールを重んじている

ようです。


有休を与えるというルールを作り

ながら、それを有形無実のものと

してしまったら、そのルールの

もとで働く人たちは、余計に

本音と建前を使い分ける人に

なってしまうでしょう。


だからこそ、表と裏がない環境を

整えることに武藤さんは注力されて

いるのだと思います。


今回の結論は、経営者の方が

従業員の方に対して、効率的な

働き方をして欲しいと思うので

あれば、それなりの環境整備を

しなければならないとうこと

です。


パプアニューギニア海産さん

では、そのための取り組みの

ひとつが、出勤・退勤時間は

自由、嫌いな作業はやらなくて

よいというルールです。


そして、これは、同社の事業に

あった独自のルールです。


日本のどんな会社にも一律に

適用できるルールではありま

せん。


どうすれば効率よく従業員の方に

働いてもらえるのかという、自社に

合ったルールを作ることが経営者の

役割であり、それこそがまさに

「会社経営」ということであると、

私は武藤さんの本を読んで感じ

ました。

 

 

 

 

 

f:id:rokkakuakio:20170718005723j:plain