鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

あえて1番にならない

私はこれまで、会社の業績を高める

には、部分最適ではなく、全体最適

目指すようにしましょうと伝えてきて

います。


部分最適とは、会社の一部の都合を

優先させることで、全体最適とは

会社全体の業績がうまく行くように

考えて意思決定することです。


ただ、このような表現ですと、

独りよがりはいけないという

道徳的な意味で解釈されてしまい

そうですが、単に、道徳的に他人を

慮っても、業績があがらなければ

意味はありません。


ここでの全体最適とは、限られた

経営資源をどのように配分する

ことが最大の利益を得られるかと

いう資源配分の仕方を指して

います。


話しがそれますが、実は、この

資源配分もまったく根拠なく

行うべきではありませんが、

資源配分が適切であったか

どうかということは、事後的に

かるということもこの全体

最適を実現させることが難しい

要因となっています。


資源配分について、簡単な例を

しめします。


従業員数が100人、小売業を

営むある会社が、A市、B市、

C市にそれぞれ店を持っていると

します。


A市のA店は50人、B市のB店は

30人、C市のC店には20人の

従業員が働いています。


ここで、B店の位置するB市は人口が

増加しており、同社も販売を強化

すべきと判断し、A店からB店に

10人を異動させたとします。


その結果、B店の売上は1,000

万円増加したものの、A店の売上は

1,200万円減少してしまい

ました。


この場合、A店の従業員10人を

B店に異動したことは失敗だったと

言えます。


もしかしたら、A店から6人を、

C店から4人を異動させることが、

両店の店の売上を減少させる影響が

少なく、それが正解だったといえる

かもしれません。


よく、「オンリーワン企業を目指せ」

ということを主張する方がいるし、

そのようなことをすると、従業員の

方の士気も向上するので、1位を

目指そうと考える方は多いと

思います。


前述の、B店に10人を異動させる

という判断は、B市でのこの会社の

売上を1位にしようという意図が

あったのかもしれません。


この結果も長期的に判断すべきこと

なのですが、ある分野で1位をとる

ことが、会社全体にとって、最大の

利益を得ているとは限らないという

ことも勘案しなければなりません。


中小企業であっても、オンリー

ワンの技術や製品を持っている

会社はたくさんありますが、

割合としては、少ないと思います。


そこで、経営資源の少ない会社は、

あえて1位を目指さないという

ことが、そのための労力を温存でき、

会社全体としては利益を得られる

ということもあると私は考えています。


経営者の方の中には、1位の分野が

欲しいという思いを持つ方も多いと

思いますが、弱者の戦略である、

フォロワーのポジショニングも

お薦めしたいと私は考えています。


これは、中小企業ではないのですが、

かつて、Panasonicは、

他社製品を模倣した製品を製造して

業績を伸ばし、旧社名の 松下電器

産業をもじって、「マネシタ電器」と

揶揄されて呼ばれることがあり

ました。


しかし、これは確かに模倣された

会社としては悔しいことですが、

それ以外の会社からは、新製品を

開発する費用や、新たな製品を

市場に投入して失敗するリスクを

回避し、経営資源を温存できる

賢明な戦略であると評価されて

いる戦略でもあります。


経営資源の小さな中小企業であれば

こそ、この模倣戦略で経営資源

温存するという戦略は、さらに

効果の高い戦略であると私は考えて

います。

 

 

 

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