鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

名前だけの株式会社にならないために

創業時の融資の相談を受けるときに、

会社を設立した方がよいか、個人事業

主の方がよいかという相談を受けます。


しかし、そのような方は、ほぼ、会社を

設立することを決めています。


しかも、合同会社ではなく、株式会社を

選択します。


その理由は、株式会社として事業を

営まないと、取引先から信用して

もらえないというものです。


そのこと自体は問題がないので、

私は「そうお考えであれば、ぜひ、

株式会社を設立しましょう」と

お答えします。


しかし、せっかく高い費用を支払って

株式会社を設立したにも関わらず、

設立した後になってから、本当に

株式会社を設立した意義があるのだ

ろうかと、疑問に感じることも多く

あります。


前述の「株式会社でないと取引先から

信用してもらえない」という理由は、

次のようなものでしょう。


(1)株式会社では、資産規模や事業

規模がある程度の大きさがあると

思われる。


(2)株式会社では、事業運営体制が

整っていると思われる。


株式会社とはいえ、創業後間もない

ときにいきなり事業規模などを大きく

することは難しいですが、運営体制の

整備は実施が可能でしょう。


もし、ここで、「自社はそれほどの

ことはするまでもない」とお考えで

あれば、株式会社を設立したことは

単に外見をよくするためだけという

ことになってしまいます。


「それは建前だ」とお考えになる

方もいらっしゃるかもしれませんが、

ここでは、せっかく会社を設立した

のだから、外見に中身を合わせる

ことを目指すという前提で述べて

いきます。


ひとつめは、決算公告をするという

ことです。


株式会社は、会社法第440条など

により、貸借対照表を新聞かインター

ネットで公表することが義務付けられ

ています。


この義務があるのは、まさに、株式

会社の信用の高さを保証するため

であり、いいかえれば、株式会社の

信用が高いのは、貸借対照表が公開

されるからです。


実は、この規定は、罰則がないと

いうこともあり、義務があるにも

かかわらず、90%の株式会社は

決算公告をしていないと言われて

います。


ある意味、株式会社の90%は、

外見だけの株式会社となっている

といえるのかもしれません。


また、会社の決算公告については、

異論のある方もいると思いますが、

その議論についてはここでは

割愛し、実際に、自社の属する

業界のイメージを変えたいとの

思いから、決算公告をきちんと

行っている会社の例をご覧

いただきたいと思います。

https://goo.gl/gGTQY3


次に、定期的に取締役の会議を

開くということです。


かつては、すべての株式会社に

「取締役会」の設置が義務付け

られていました。


しかし、「会社法」が施行されて

からは、公開会社(すべての株式、

または、一部の株式の譲渡に関して、

会社の承認を要する旨を定款によって

定めていない会社)でなければ、

取締役会の設置は義務付けられて

いません。


いま、日本の株式会社のほとんどは

公開会社ではない会社(いわゆる株式

譲渡制限会社)なので、取締役会も

設置していません。


ただ、法律で義務付けられていない

からといって、取締役の会議を開いて

いなければ、その会社は、社長一人で

すべてを決めているワンマン会社と

なってしまい、それは、個人事業主

なんら変わりないでしょう。


ですから、譲渡制限会社であっても、

取締役会を設置している公開会社と

同様に、3か月に1度、できれば、

毎月、取締役の会議を開くことを

お薦めします。


もし、取締役が社長1人しかいない

という会社は、取締役に代えて、

幹部を集めて会議を開くことでも

よいと思います。


そうすることで、より組織的な事業

運営を早い段階から行うことになり、

事業拡大の速度が高まるでしょう。


以上、述べた、決算公告を行ったり、

取締役の会議を定期的に開く会社は、

中身も外見通りの株式会社となり、

単に、器だけが株式会社の会社よりも、

実力のある会社になると私は考えて

います。

 

 

 

 

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