鄙のビジネス書作家のブログ

鄙で暮らす経営コンサルタント(中小企業診断士)・ビジネス書作家六角明雄の感じたことを書いているブログ

金融検査マニュアルの廃止

6月8日付の日本経済新聞に、金融庁

金融検査マニュアルを廃止する旨の記事が

載っていました。


(ご参考→ https://goo.gl/usVBeW


金融検査マニュアルと言えば、金融庁

銀行の融資業務について、細かく検査する

ことが決めているマニュアルとして

知られています。


(実際には、融資業務だけでなく、預金

業務、為替業務、リスク管理など、銀行の

業務全般について、どのように検査する

かが書かれています)


前出の記事には、直接的に、いつから

金融検査マニュアルを廃止するのかという

ことについては書かれていませんが、

文脈から見ると、今年度に廃止される

ようです。


では、金融検査マニュアルが廃止されると

中小企業はどのような影響があるのかと

いうことに、多くの方が関心を持つこと

でしょう。


これについては、急激に何らかの変化は

ないと考えています。


金融検査マニュアルの廃止という言葉は

少し刺激的に感じられますが、金融庁

かねてから銀行に対して関与の度合いを

低くしようという動きがあり、金融検査

マニュアルの廃止もその流れの一環で

あると考えられることから、急な変化が

あったとは私は考えていません。


しかし、長期的には、銀行は、自社の

経営方針や経営の状況を明確に説明する

ことができない会社に対する融資は

しなくなると私は考えています。


前出の記事にも、金融庁は、銀行に

対して、融資を積極的に行うようにさせた

いとの意図を持っているように書かれて

いますが、その一方で、「個別の事情に

あったリスク管理体制を敷いているか」を

確認する方針に転換すると述べられている

など、金融庁は、銀行の自主性を重視する

考え方が強まってきています。


銀行の自主性が高まれば、それは、銀行の

自己責任も高まるということになり、効率

的な融資業務を行おうとします。


その結果、自社の状況を銀行にしっかり

説明できない会社への融資は、銀行から

見れば、会社の業況の把握するための

銀行の負担が大きいため、なるべく避け

たいと考えるようになると私は考えて

います。


もう一歩踏み込んで述べれば、銀行は

成長する見込みのある会社でなければ

融資を避けようとするようになって

いくので、自社の状況を説明できない

会社は、経営能力がないと判断される

ということです。


文字数の兼ね合いから荒っぽい説明に

なりましたが、ひとことで述べれば、

これからは、「金融検査マニュアルに

こう書いてあるから、この考え方で

自社に融資をして欲しい」という依頼の

仕方は、会社側は、できなくなるという

ことです。

 

 

 

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